2019 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯・中緯度海上の降水特性を決める大規模環境場要因に関する観測的研究
Project/Area Number |
19K21050
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 千恵 東京大学, 大気海洋研究所, 特任助教 (80649236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 降水特性 / 豪雨 / 衛星観測 / 将来変化 / GPM衛星 / 降水の組織化 / 梅雨 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 2018年7月豪雨の解析研究を論文化した。朝鮮半島付近に停滞した対流圏上層トラフに伴う力学的上昇流による対流圏中層の加湿効果が本事例で重要であったことを見出し、豪雨をもたらした組織化システムの維持に好都合な大規模場の理解を深めた。 2) 初夏の日本付近における降雨特性の将来変化推定研究を論文化した。2019年度は、大規模場からタイプ別の降水量分布を再構築する手法を検証し妥当性を確認した。 3) 2)の再構築手法を全球海上に拡張した。熱帯と中緯度との境界を力学的に定義し、GPM降水レーダ観測を用いそれぞれの領域の雨域特性を調査した。熱帯で卓越する組織化タイプ及び小面積タイプに加え、非常に層状的な中緯度タイプが同定された。 全球海上の各タイプの雨域に対し、降水量と500hPaの大規模鉛直風(ω500)及び海面水温(SST)との関係を定量化し、大規模場から各タイプ降水量を再構築する参照テーブルを作成した。初夏日本付近と同様、雨域の大規模場依存性はタイプ毎に異なり、小面積タイプはSSTに依存する一方、組織化タイプはω500にも依存した。特に、中緯度タイプ降水のω500への明瞭な依存性が示され、ω500は中緯度タイプ降水の指標となることを見出した。これらの関係は季節や領域によらずロバストであった。 全球海上平均の参照テーブルをもとに、ω500及びSSTから各タイプの降水分布を再構築した。季節平均した再構築降水分布は観測と良い相関を示し、先行研究の知見とも整合的であった。更に、再構築されたタイプ別の雨の長期トレンドの調査も行われた。降水特性変化を推定する手法の全球海上への拡張がある程度有効であることが示された一方、特に熱帯域における再構築降水の妥当性のさらなる検証も必要であることが分かった。
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Research Products
(11 results)