2018 Fiscal Year Annual Research Report
Subaru Near-Field Cosmology Survey
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18H05875
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
岡本 桜子 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (80823377)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 銀河考古学 / 近傍銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、すばる望遠鏡の超広視野カメラ(HSC)を用いた撮像観測によって、円盤銀河が一般的に外縁部構造を持つか否か、またその恒星種族(年齢/金属量)が共通なのかを統計的に明らかにすることを目的とする。2018年度は、(1)近傍大型円盤銀河M81のHSC撮像サーベイを完了、(2)同観測済み領域に含まれるM81の衛星銀河の測光的性質の解明と未知の衛星銀河探査、および(3)新たに複数の近傍銀河をターゲットとした大型観測計画の立案と観測時間の獲得を目標としていた。 (1) M81サーベイ計画の7視野のうち、未完了だった西側2領域を2018年12月-2019年1月に観測、研究に必要な質のデータを得た。そして2019年2-3月に一次処理を行い、2019年度の迅速な解析と論文化へ向けて、データを整理した。 (2) 前年度までに解析済みのM81画像を用いて、領域内にある既知の8つの衛星銀河について、構造パラメータ、総光度、金属量分布と金属量分散を求めた。また2015年に我々が発見したM81周辺の若い恒星集団について、光度関数から近年の星形成活動を明らかにした。さらにM81の衛星銀河候補を新たに2つ発見した。そしてアストロフィジカルジャーナルにこれらの結果を投稿し、8月にオランダ、ライデンで開催された国際研究会で、招待講演として発表した。 (3) 質量や形態などの異なる性質を持つ6つの近傍円盤銀河を対象として、恒星ハローなどの外縁部構造の有無とその恒星種族、そして周囲の衛星銀河の分布と総数、恒星ストリーム等サブ構造を調べる可視光撮像サーベイ計画を立案した。すばる望遠鏡共同利用の2018年後期募集(2018年3月受付)では不採択だったものの、より効率的な計画に修正して2019年前期募集(2018年9月受付)に再応募し、インテンシブプログラムとして2年間で10晩の観測時間を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年後期に採択されていたすばる望遠鏡のHSCを用いたM81観測が遂行され、ようやく全7視野のデータが揃い、一次処理も進めた。また前年度までに観測してデータを一次処理した領域の解析を進め、結果を発表、論文として投稿できた。そしてM81銀河考古学の拡張版となる大型観測計画「すばる近傍宇宙論サーベイ」を、国立天文台すばる望遠鏡の共同利用のインテンシブプログラムとして提案、1度目は不採択であったが、計画を練り直して採択され、2019年前期からの観測へ体制を整えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度にすばる望遠鏡HSCで取得したM81銀河の西側領域データの解析を進める。領域内の小型渦巻銀河NGC2976とM81との間の赤色巨星の分布から、M81-M82-NGC3077の重力相互作用との関係を調べ、また領域内の衛星銀河の測光的性質の解明と未知の衛星銀河探査を行う。また不規則銀河NGC3077について解析を進め、外縁部のS字構造の恒星種族の解明、そして中心から少し離れた箇所に見られる若い青色超巨星の集団(Garland)と銀河中心の星形成領域との関係を他波長データも利用して調べる。 2019年前期にすばる望遠鏡の共同利用で採択されたインテンシブプログラム(主提案者: 研究代表者、期間: 2年間)を遂行する。観測の進捗状況に応じて長期計画を適時修正しながら、研究に必要なデータの質と観測領域、サンプル銀河の数の最大限確保に努める。天候と望遠鏡の状況に左右される部分ではあるが、6つの銀河のうち、初年度のターゲットの2つの銀河(あるいは銀河の一部)について、各銀河の中心から半径50kpcあるいは125kpcの範囲をHSCで撮像する。そして2019年前期に取得されるデータについて一次処理、測光して、外縁部構造の分布を明らかにする。
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Research Products
(3 results)