2018 Fiscal Year Annual Research Report
Convective activity over the Philippine Sea and its relation to upper ocean variability
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18H05879
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
清木 亜矢子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 研究員 (20435845)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | フィリピン海 / 対流活動 / 季節内振動 / 総観規模擾乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィリピン海における積雲対流活動は、東アジア域の天候や熱帯東部太平洋で起こるエルニーニョ現象の発達など、遠隔的に広い地域へ影響を及ぼすことが指摘されている。本研究では、多種類のデータを用いてフィリピン海周辺で発達する積雲対流活動と大気の総観規模擾乱や季節内振動、海洋上層変動との関係を調査し、その発達過程を解明することを目的とする。 2年計画の初年度である平成30年度は、まず解析環境を整え、大気・海洋の衛星観測データや再解析データ等を収集し、均質な格子状データを作成した。次に、熱帯域で支配的な大気変動である熱帯季節内振動(30~90日周期)や総観規模擾乱(数日周期)との関係について解析を行った。北緯15度付近を中心としたフィリピン海域での対流活動がアジア域への遠隔影響を及ぼすことが指摘されているため、その領域で平均した衛星全球降水マップ(GsMAP)の降水データを対流活動の指標として用いた。熱帯季節内振動は大規模な対流活動を伴いながら赤道付近を東進するが、その大規模対流がフィリピン海の南西や南方方向にあたる海大陸や西部太平洋に到達している位相よりも、南東方向にあたる西部~中部太平洋に到達した位相においてフィリピン海での対流活動はピークに達した。また、総観規模擾乱の活動度(運動エネルギー)に焦点をあてても、熱帯季節内振動の対流が中部太平洋で活発な位相で値が大きいことがわかった。このことから、フィリピン海における対流活動には、熱帯季節内振動に伴う大規模対流から発生し北西進する総観規模擾乱の影響が大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半年の研究期間であったが、データ解析装置の構築、多種類のデータの収集と均質な格子状データの作成、そしてフィリピン海の対流活動と大気の季節内振動や総観規模擾乱との関係について解析を行うことができた。また、国内や海外の学会や会議にも参加し、他の研究者と議論を行い、今後の研究に生かす情報を収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、引き続きフィリピン海における対流活動の発達過程について調査を進め、学会において発表する。特に、海洋上層変動との関係に着目した解析を進める。その結果と初年度の大気擾乱に関する結果を投稿論文にまとめる作業を行う。
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