2019 Fiscal Year Annual Research Report
海洋上層変動と関連したフィリピン海における積雲対流活動の発達過程
Project/Area Number |
19K21060
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
清木 亜矢子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), 研究員 (20435845)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気象 / フィリピン海 / 季節内振動 / テレコネクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東アジア域の天候やエルニーニョ現象などへ遠隔的に影響を及ぼすフィリピン海上の積雲対流活動がどのように発達し、地球規模の影響を及ぼすのかを解明することを目的とする。 昨年度は、熱帯域における支配的な大気変動である熱帯季節内振動(30~90日周期)や総観規模擾乱(数日周期)がフィリピン海上の対流活動へ与える影響について調査した。最終年度である本年度は、まずフィリピン海から東アジア域への遠隔影響の指標として、太平洋-日本パターン(PJパターン)インデックスを作成した。PJパターンはフィリピン海付近と日本付近の気圧配置が逆位相になる変動であり、これまでは主に季節(3ヶ月)平均や月平均インデックスが利用されてきたが、今回は本研究に合わせて日平均インデックスを作成し、季節内規模のフィルターをかけて熱帯季節内振動との関係を調べた。その結果、季節内規模のPJパターンインデックスと熱帯季節内振動の振幅とは相関がない一方で、その位相とは有意な相関が出ることがわかった。通常熱帯季節内振動は海面水温の高い熱帯インド洋~西部太平洋上において活発な対流活動を伴って東進しているが、本研究の結果はその熱帯季節内振動がある特定領域に到達している数日~数週間という短い期間に対応して日本付近の気圧が変動していることを示している。その特定領域とは西部~中部太平洋であり、熱帯季節内振動の対流活発域が西部~中部太平洋に到達した位相においてフィリピン海での対流活動はピークに達したという昨年度の成果と整合的である。これにより、フィリピン海上での積雲対流活動が熱帯季節内振動やそれに伴う総観規模擾乱に伴って発達し、PJパターンを介して日本付近の大気変動へ影響を与えていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)