2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19K21063
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
馬渕 豊 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00823296)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノダイヤモンド / 摩擦 / 重水素 / 分散 / 官能基 / 潤滑 / オイル / 粒度分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に続きナノダイヤモンドによる摩擦低減モデルの検証として、重水中に分散した粒子を摩擦試験後に抽出し、TOF-SIMS分析により官能基の状態を直接観察した。その結果、ナノダイヤモンド表面に製造段階で導入された官能基-OH及び-COHに加え、重水との反応により形成される-OD及び-CODが一定比率、存在することが確認され、摩擦試験中に官能基の置換が進んでいる傾向が示された。このためナノダイヤモンドによる摩擦低減機構の維持に、-OH基を持続的に供給する添加剤が必要である。 一方、潤滑油への分散の解析として、様々な面圧条件(点/線/面接触、20MPa~1GPa)にて摩擦試験を行った。その結果、点/線接触による高面圧条件での摩擦低減効果が5~30%に留まったのに対し、面接触(1.7MPa)でかつなじみ促進のため軟質の試験片を用いた場合、86%もの低減効果を示した。これは摺動する2面間の距離が極めて均一に制御された状況において、ナノダイヤモンドの効果が最大限発揮されることを示す。この条件において、エンジン潤滑油の各種添加剤との相互作用を解析した結果、摩耗防止剤(ZnDTP)では先と同様の低減効果が得られたのに対し、分散剤(コハク酸イミド)や清浄剤(Caサリシレート)では約20%程度の摩擦低減効果に留まった。添加剤種による粒度分布への影響がほぼなかったことから、分散剤及び清浄剤は、ナノダイヤ粒子への直接吸着による官能基の機能障害と推定した。一方、試験後のディスク摺動部のEDX分析からは、何れの組み合わせも特徴的な被膜構成成分が認められず、摺動部へのナノダイヤモンドを含む被膜形成が摩擦低減のモデルに必須の要素でないことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)