2018 Fiscal Year Annual Research Report
Degradation mechanism of solid oxide fuel cells and solid oxide electrolysis cells
Project/Area Number |
18H05887
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
志村 敬彬 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70814143)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 固体酸化物形電解セル / 固体酸化物形燃料電池 / 電極微細構造 / 劣化 / 三次元微細構造再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的な喫緊の課題であるエネルギー問題解決のために,多様なエネルギー源を有効に活用するためのシステム作りが強く求められている.固体酸化物形燃料電池(SOFC)およびその逆モード運転である固体酸化物形電解セル(SOEC)技術をエネルギーシステムの中に組み込むことにより,発電と燃料合成を高い変換効率にて実現できると期待されている.この技術の幅広い導入のためには,長期間の運転におけるSOFC/SOEC の変換効率の低下を防ぐことが必要である.本研究では,性能の劣化要因を,セルの電極微細構造の観点から明らかにすることを目指す. 本年度は,イットリア安定化ジルコニア(YSZ)電解質支持型セルを用いた実験を行った.燃料極として,ニッケル(Ni)-ガドリニウム固溶セリア(GDC)コンポジットおよびNi-YSZコンポジット電極を用いた.空気極として,GDC中間層を有するLSCF電極を用いた.それぞれ,800 ℃において,45%水素,45%水蒸気,10%窒素で構成されるガスを供給し,0.2 A/cm2の電流密度にて,100時間の燃料電池モードおよび電解モードにおける運転を行った.Ni-GDC,Ni-YSZどちらも,電解モードにおける運転の方が,大きな劣化が見られた.また,Ni-GDCの方が,Ni-YSZに比べ,大きな劣化を示した.運転終了後のNi-GDC電極を,エポキシ樹脂で含侵し研磨することで,電子顕微鏡試料を作成し,走査型電子顕微鏡(SEM)および収束イオンビーム(FIB)-SEMを用いて観察を行った.燃料電池,電解モードどちらの運転後も,Niが電解質界面から遠ざかっている様子が観察された.今後は,FIB-SEM観察により得られた連続SEM画像の画像処理を行い,電極微細構造パラメータの算出を行う.また,同様の解析をNi-YSZ電極に対しても行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電極微細構造と電極性能の関連の評価,および劣化の評価をするために,Ni-GDCおよびNi-YSZ燃料極を有する電解質支持型セルを作成し,いくつかの条件において実験を行うことが出来た.繰り返し実験の結果から,良い再現性のもとにセルは作成されていると考えられる.明らかな燃料電池モードおよび電解モードの違いが,電気化学インピーダンス測定結果,およびそれぞれのモードにおける運転後の電極断面画像から明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,FIB-SEMによって得られた連続断面SEM画像の画像処理を行い,微細構造パラメータの算出を行う作業に取り組んでいる.上記でも述べたように,燃料電池モード,電解モード間での電極性能変化および電極微細構造変化の違いは明らかであり,電極微細構造の定量化により,両者の相関に関して,より具体的な結果が得られると期待できる.本年度は,Ni-GDC,Ni-YSZに関して,さらに多くの実験条件にて実験を行い,それぞれの運転モードにおける劣化メカニズムに関して検証する予定である. また,FIB-SEM観察から再構築された三次元電極微細構造を用いて,格子ボルツマン法による電気化学計算を行う予定である.
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