2018 Fiscal Year Annual Research Report
火炎式噴霧熱分解を用いた複合ナノ粒子構造制御による担持金属触媒の高分散・高耐久化
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18H05888
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長澤 剛 東京工業大学, 工学院, 助教 (80824010)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 燃焼合成 / ナノ粒子 / 構造制御 / 担持金属触媒 / 燃焼工学 / 熱流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池の電極や燃料改質・排ガス浄化用触媒として広く使用される担持金属触媒においては,小さな金属粒子サイズと高い分散状態を長時間維持できる構造の開発が強く望まれる.本研究では,燃焼合成によって金属が担体マトリックスに固定化された複合ナノ粒子を作製し,金属粒子の凝集を防ぎつつ高い比表面積・分散状態を有する触媒構造を実現することを目的とする. 2018年度はまず,燃焼合成装置の設計・製作を行った.燃焼チャンバーの中心に二重管構造の拡散火炎バーナーを設置し,前駆体溶液は超音波振動によって霧化してバーナー火炎中に供給する構造とした.また燃焼チャンバーには内部の観察および光学計測が可能なように複数の可視化窓を設置した. 次に完成した装置を用い,火炎中にセリウム前駆体溶液を供給することでセリア粒子の合成を行った.その結果,前駆体濃度,当量比,希釈率を調整することにより粒子径100nm程度のセリア粒子が合成された.また白金前駆体とセリウム前駆体を均一に混合した溶液を用いて燃焼合成を行ったところ,粒径100nm程度のセリア粒子に10nm程度の白金が担持された粒子が合成された.合成した白金/セリア粒子の構造をSEM及びTEMにて観察した結果,白金は一般的なセリア表面に担持された構造ではなく,セリア内部に内包された構造となっていることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は研究の柱となる燃焼合成装置が完成し,またこれを用いて白金/セリア粒子の合成に成功した.燃焼合成研究を進めるための土台が構築できたため,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2018度は燃焼合成によりPt/CeO2粒子の合成に成功したが,得られた粒子の構造評価は不十分であった.そこで本年度はまず,集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いてPt/CeO2粒子の立体構造を把握し,PtがCeO2内に埋め込まれたコンポジット構造が実現できているかを確認する.次に燃焼合成における各種パラメータ(等量比,前駆体濃度,火炎長さ等)が粒子構造に与える影響を調査し,最適な粒子構造を設計するための指針を得る. これらに加え,今年度は前駆体の供給方法が粒子構造に与える影響を調査する.去年度はPtとCe前駆体溶液をあらかじめ均一に混合した状態で供給したが,今回はこれを別々に供給し,火炎直前で合流させる.これにより,研究目的で述べているような,不均一なコンポジット構造を有する粒子が合成できることが期待される.また,前駆体溶液をノズル先端から噴霧として供給する手法にも取り組む.これにより,超音波振動と比較してより粒子径の小さいナノ粒子を合成することを目指す. 最終的には,上述の合成の結果得られた貴金属担持ナノ粒子を用い,管状リアクターにて触媒反応試験を行い,作製した触媒の耐熱安定性と反応活性を評価する.
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