2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Space Propulsion with a Low Toxicity ADN-Based Monopropellant
Project/Area Number |
19K21074
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
和田 明哲 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40824991)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | Direct Current Plasma / Electrolysis / Ignition / Green Monopropellant / ADN-based Ionic Liquid / Chemical Plasma Thruster / Electric Propulsion / Micro Propulsion System |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、より遠方領域かつ長期運用の超小型宇宙機の探査自在性の獲得およびその制御技術として超小型推進系の実現に向け、低毒性アンモニウムジニトラミド(ADN)系イオン液体推進剤を使用したプラズマ宇宙推進機の研究開発に取り組んでいる。その中で本研究課題では、ADN系イオン液体推進剤の点火および保炎が可能な機構の確立を目指し、放電プラズマによるイオン液体の点火特性および電気的特性を取得すること、また当該点火機構を使用したスラスタの設計指針および実現可能性を示すことを目的とし研究を実施した。下記に、研究期間全体を通じて実施した研究の成果を示す。 (1)減圧環境下およびアルゴンガスパージ下において、ADN系イオン液体のオープンカップ(液体を静止させた状態で)試験を実施した。その結果、大気圧下においてイオン液体の直接的な絶縁破壊および点火が実験的に確認された。また、反応機構内部では、瞬間的な圧力上昇が計測でき、イオン液体の電熱分解が可能であることを明らかにした。減圧環境下においても同様にイオン液体に対し絶縁破壊を起こし、分解ガスを種としたプラズマ発光が確認でき、イオン液体の電気的特性(絶縁破壊電圧および放電維持条件)および点火条件を取得した。以上により、実験的に当該点火機構の設計指針と実現可能性を示した。 (2)本イオン液体は、溶媒に水やアルコール類を合成せず、固体物質同士を共融させ液化しているため、高粘性である。そのため、燃焼室内に50mg/s~500mg/sの流量で供給可能な機構の選定とその供給方法の妥当性を解析的に検証した。また、当該点火機構に本供給機構を適用し、その有効性を実験的に確認した。 (3)化学的反応経路の視点から複数組成の混合気相領域において、スラスタ機構の内部エネルギおよびエンタルピ変化量による比推力と投入電力の関係性を明らかにし、準一次元の数値モデルを構築した。
|