2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Wearable Antenna For Preventive Health Care
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18H05908
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
GUAN ChaiEu 長崎大学, 工学研究科, 助教 (10824584)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | ウェアラブルデバイス / マイクロスリップパッチアンテナ / 電磁結合給電 / 生体・電磁環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では人体影響低減が可能な,予防医療用の小型・平面構造ウェアラブルアンテナの開発を目的とする. 初年度は,高性能計算機を導入し,時間領域差分法による数値計算を行い,アンテナおよび電磁ファントムの設計を実行した.人体に装着されるときのアンテナのインピーダンス特性や放射指向性などを計算するためには,人体組織を模擬する電磁ファントムのモデリングが必要となる.人体通信関連情報技術研究所によって定められた電気定数を,人体の皮膚,脂肪,筋肉に関る比誘電率に導入した.これにより,効率の良いアンテナおよび生体を含めたシステム設計手法を確立した. 人体によるアンテナ特性(リターンロスおよび放射指向性)への影響度を,先行研究調査および数値シミュレーションにより明らかにした.提案の方形マイクロストリップアンテナは誘電体基板と地導体板が有限であり,基板端部での回折現象によりアンテナ背面にも放射される.アンテナの接地導体板と後方の非接地導体部の間に空気層が置かれたことにより,人体によるアンテナ放射指向性への影響を低減する効果を解明した.また,提案アンテナの周波数帯域幅拡大のため,アンテナ放射素子側面から電磁結合給電を行うことにより広帯域化を図った.数値計算結果から,提案アンテナの側面から電磁結合給電されることにより,2つの隣接した周波数でインピーダンス整合が取れ,周波数帯域幅の広帯域化が実現できた. 解析結果において,2019年度電子情報通信学会総合大会に,その結果を報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人体への影響を軽減させるため,提案アンテナは方形マイクロストリップアンテナ(MSA)の背面に誘電体基板を装荷している構造を設計した.提案アンテナは方形パッチの側面にマイクロスリップ線路で構成した長方形素子を設ける電磁結合給電により,周波数帯域幅の広帯域化を達成した. 2018年10月,アンテナ評価実験,及び計算値の結果,電磁結合給電線とアンテナとの相互結合に予期しなかったばらつきが見られた.アンテナの測定結果は,シミュレーション結果と比べて動作周波数の推移が生じた.研究遂行上,相互結合の本質を見極めることが必要となり,予定より多くの試料を入手し,再実験結果を評価する必要が生じた.研究費に未使用額が生じたが,新試料を次年度に納入し,再実験の実施については当初の予定研究計画と併せて実施する. 2018年度は,時間領域差分法を用いた数値シミュレーションによって人体等価ファントムの影響を考慮したアンテナを設計し,アンテナの構造に関する指針を得た.現在までのところ,おおむね順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2019年度では,シミュレーション結果の精度およびアンテナの実現性を評価する.アンテナを自由空間に置いた場合,人体表面に置いた場合といった2種類の測定を実施,シミュレーション結果との比較検討を行う.これらの実験結果から,電磁ファントムに置かれたアンテナの形状パラメータと反射係数および絶対利得との関係を明らかにする.同時に,人体近傍に置かれた従来型マイクロスリップパッチアンテナの特性を調査する. アンテナ試作は本学が所有する基板加工機で行い,測定も本学が所有する電波暗室とベクトルネットワークアナライザーを使用する予定である.測定では,提案アンテナが人体の各部位に置かれた場合の入力インピーダンスや放射指向性などの変化を調査する.自由空間に置かれた場合と人体表面に置いた場合のアンテナのインピーダンス整合を調整するためには,中央を短絡したT形状マイクロストリップ線路または新たな電磁結合給電のトポロジーの適用調査を行う.
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