2018 Fiscal Year Annual Research Report
海洋レーダを用いた津波減災技術の構築~警報解除および激甚被災地探索の迅速化~
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18H05914
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
門廻 充侍 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (80819673)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 海洋レーダ / 津波波峰推定 / 特性化波源モデル / 南海トラフ地震津波 / 津波断層 / 不均一すべり分布 / 津波観測情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
1局の海洋レーダを用いた津波波峰を推定する手法を検討し,南海トラフ巨大地震津波を対象とした波峰推定を実施した.具体的には,以下の通りである.津波シナリオとして,最大規模であるMw9.1に加え,Mw8.6の2つのシナリオを検討した.対象となる津波シナリオは,大すべり域および超大すべり域が紀伊水道沖に形成されていると仮定し,すべり量の不均一性を考慮した.設定された津波シナリオに対して,Okada(1992)の方法に基づき津波波源を計算した.これらを外力条件として,津波の伝播計算を実施し,海洋レーダの観測面における視線方向流速および水位の時空間分布を出力した.津波波峰推定法として,海洋レーダの各ビーム上で観測された視線方向流速の最大値を抽出する方法を用いた.また,波峰の水位は,進行波を仮定し,流速の最大値を水位に換算する手法を検討した.Mw9.1津波を検討した結果,波峰の位置は全体的に-2range以内の誤差で,良好に推定できることを示した.波峰の水位推定は,全体的に-20%~+10%の誤差で推定できるが,視線方向流速を用いていることから,一部-30%を超える誤差が生じることを明らかにした.表層流速を用いることで,その誤差を改善できることを示した.またMw8.6津波の場合でも,全体的に-20%~+10%の誤差で推定可能であることが明らかになった.一部-30%を超える誤差が生じていたが,視線方向流速を用いていることが原因として考えられる.Mw9.1の結果と同様に,表層流速を持ちることで,誤差が改善されることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1局の海洋レーダを用いて津波波峰を推定する手法を検討するとともに,南海トラフ巨大地震津波を対象とした波峰推定を実施できた.津波波峰の位置推定に関して考察を加えることができた.また,視線方向流速を用いた津波波峰の水位推定に関する課題を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の検討では,実観測データに含まれるノイズや潮流成分を考慮していないため,Fuji and Hinata(2017)により提案された仮想津波観測実験を用いて性能検証を行う.また,外力条件として,津波波源の形状がより複雑な内閣府想定(2012)を対象とした検討を行う.さらに,海洋レーダで観測された津波成分と沿岸で観測される津波高の関係性を検討する.
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