2019 Fiscal Year Annual Research Report
C-S-Hの共存作用に基づくエトリンガイトの膨張性評価手法の構築
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19K21086
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 賢之介 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (20821606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エトリンガイト / 二次生成 / C-S-H / モノサルフェート / 膨張 / 硫酸塩劣化 / DEF |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、硫酸イオン存在下でエトリンガイトへと変化するモノサルフェートにC-S-Hが共存した場合における、エトリンガイト二次生成の促進現象の経時変化に着目した検討を行った。 具体的には、モノサルフェートおよび、化学組成であるCaO/SiO2モル比が異なるC-S-Hを純薬合成した。その後、合成モノサルフェートにC-S-H、水酸化カルシウム(CH)、非晶質シリカ(AS)、CHとASの混合物(CH+AS)を共存物質として、質量比1:1で混合し、硫酸ナトリウム水溶液を用いて練り混ぜを行った。練り混ぜ後の試料は、材齢1, 7, 28, 91日で水和を停止し、各試料について粉末X線回折(XRD)を行い生成物を同定するとともに、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)を用いて試料中の原子の結合状態を評価した。 その結果、C-S-Hが共存した場合では、前年までの研究成果と同様に、材齢1日時点でモノサルフェートがほとんど消失し、エトリンガイトが多量に生成された。その他の共存物質の場合では、モノサルフェートが一定程度消費され、エトリンガイトが生成したことが確認されたが、C-S-H共存の場合には及ばなかった。材齢が7日,28日,91日と進行するにつれて、C-S-Hが共存した場合では、エトリンガイト生成量が継続的に増大した。しかし、C-S-H以外の共存物質、特にCH+ASを共存させた場合においても、モノサルフェートが消失して、C-S-H共存試料と同程度までエトリンガイト生成量が増大することが明らかとなった。CH+AS共存試料についてFT-IR測定を実施した結果、材齢の長期化に伴い、C-S-H構造中のシリケート鎖に起因するSi-O伸縮振動ピークが確認された。したがって、CH+AS共存試料では材齢経過に伴い試料中でC-S-Hが生成され、これによってエトリンガイトの二次生成が促進されたものと考えられた。
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