2019 Fiscal Year Annual Research Report
水道水の着色制御のための化学形態を考慮した適切な浄水中マンガン濃度の提示
Project/Area Number |
19K21087
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 智宏 京都大学, 工学研究科, 助教 (90824293)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 送配水システム / マンガン / 黒水 / 浄水中の目標マンガン濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は(1)実際の配水管に近い水理・水質条件でマンガン(Mn)付着物の形成過程をモデル化し、(2)実配水管内のMn蓄積量を実測した後、(3)2の結果で1のモデルを校正し、黒水発生を制御できるような浄水中Mn濃度・形態について考察する、という予定で研究を遂行した。 1.通水式Mn付着・脱離実験:Mn2+イオンとMnO2粒子が共存する水道水を試験片の装着したカラムに連続通水し、Mn付着物の成長過程を把握した。実験室の水道水に硫酸マンガンを溶解させ、塩素との反応時間によってMn形態を制御したものをカラムに連続通水し、Mn蓄積量の変化を把握した。Mnの蓄積した試験片に超純水を通水して脱離速度を把握した。この結果に昨年度構築したMn付着物形成モデルを適用し、この実験系で適用可能な蓄積モデルを構築した。 2.実態調査:地下水を水源とする地域で配水管の洗浄現場に同行し、排水の分析によってMnの蓄積量を実測した。配水管単位内面積あたりのMn蓄積量は0.3~18 g/m2程度であり、全蓄積量のうち30%程度の割合がMnO2と推定された。ただし、蓄積量と水中Mn濃度のデータが十分に収集できなかったため1のモデル校正はせずに3を進めることとした。 3.適切な浄水中Mn濃度・形態の提示:1のモデルを用いて、全Mn濃度を0.1~2 ug/Lに変化させながら内径150 mmの配水管を想定して平衡蓄積量を計算し、その全量が管内に懸濁した場合のMn濃度を推定した。水道利用者が黒水と判断し水道局に苦情を発信し始めるMn濃度閾値は0.4 mg/Lであるため、上記の懸濁後Mn濃度がこれを超えない最大の全Mn濃度を推定した。その結果、Mn2+の割合が10%の場合は1.1 ug/L、50%の場合は0.6 ug/L、90%の場合は0.4 ug/Lが黒水によって苦情を発生させないための目標Mn濃度と考えられた。
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Research Products
(1 results)