2018 Fiscal Year Annual Research Report
高圧条件における繰返しせん断に及ぼす粒子破砕の影響
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18H05921
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
野田 翔兵 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 助教 (30749289)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 海底地盤 / 地震 / 高圧 / 粒子画像 / 粒子破砕 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本近海は海溝が存在することから水深の深い場所が多く,これまで諸外国に比べ海底の開発が進んでいなかった。しかし,近年では,海底資源開発や海底地すべりの問題等により,日本においても海底地盤の特性が注目されている。この海底地すべりの発生は,地震が誘因となっていることが多いと考えられる。これらのことから,筆者らは高圧条件での繰返しせん断実験を実施してきた。豊浦砂を用いた繰返しせん断の結果,拘束圧の増加に伴い,繰返しせん断強度が低下する傾向が見られた。これは,粒子破砕による影響と考え,せん断後の試料を用いて粒子破砕の検討を行った。本研究では,従来用いられている質量による粒度分布を用いた粒子破砕量の評価ではなく,粒子画像を用いた粒子個数に基づく粒度分布によって粒子破砕の検討を行った。 本研究で用いた試料は,繰返しせん断実験後の豊浦砂である。繰返しせん断の後,実験装置より取り出した供試体を半割し,上中下の3箇所から試料採取を行った。粒子画像の取得は,Morphologi G3(MalvernPanalytical instruments)を使用して行った。38mm3のさじにすりきりで採取した試料に対して, 1粒毎の粒子画像を取得した。このように取得した粒子画像から面積円相当径を求め,その粒径とした。試験前と比較するといずれの条件においても細粒分含有率は増加しており,拘束圧が増加するとそれに伴い細粒分含有率も増加する傾向にあることが分かった。また,同一拘束圧時には繰返し応力の増加に伴い細粒分含有率が増加する傾向が認められた。以上より,粒子画像を取得し,粒子個数による粒度分布を求めれば,微小な粒子破砕であっても評価できる可能性があることが分かった。今後は他の材料について同様の分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した通り,予定していた豊浦砂の粒子画像撮影を実施し,粒子破砕について傾向を把握することができたことから,おおむね順調に進展していると判断した。また,細粒分を含む砂質材料の繰返しせん断試験を実施した。2019年度はこの試料を用いて粒子画像撮影を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
粒子画像の撮影については,細粒分を20%程度含むタービダイト砂の模擬試料を用いた繰返しせん断実施後の試料について行う。撮影条件は2018年度実施した豊浦砂と同様であるが,粒子数が非常に多くなり,粒子が重なるなど撮影が困難になることが予想されるため,採取する体積を減少させる必要があると考えられる。これについては事前にデモ撮影を行うことにより検討を行う。昨年度の結果より,粒子破砕については供試体の中央部が最も多いと考えられたため、本年度は供試体中央部の試料を主に分析する予定である。また,繰返し回数やせん断変形量などによっても粒子破砕量は変化すると考えられることから,これらの影響についても検討していきたい。
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