2019 Fiscal Year Research-status Report
戦前から1960年代までの観光地で指定された風致地区の実態に関する研究
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19K21098
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西川 亮 立教大学, 観光学部, 助教 (70824829)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 都市計画法 / 風致地区 / 観光開発 / 1960年代 / 古都保存法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、静岡県舞阪町、神奈川県湯河原町および鎌倉市を対象とした。そのうち、舞阪町については、静岡県公文書館に資料が保存されておらず、対象地域から外す判断をした。 神奈川県湯河原町および鎌倉市については、1950年代から1960年代の風致地区行政に関する資料(都市計画文書(審議会議事録・図面等)の一次資料および当時の新聞記事)を、神奈川県立公文書館および国会図書館にて収集した。湯河原町は、1960年代に風致地区の範囲は変化しなかったが観光地として開発が多かった地域である。資料収集の結果、神奈川県行政は、風致地区の開発基準を逸脱するような民間開発申請に対して多数の許可を与えていた。風致地区の範囲こそ維持されたものの、実質的にはそれが十分に機能してこなかったことが明らかになった。 一方、鎌倉市では、1960年代に古都保存法の対象として、緑地保全制度が強化されたことも影響し、湯河原に見られたような風致地区制度の運用上の問題は見られなかった。 従来の既往研究では、風致地区指定という史実のみを捉えることで、観光地の風致保全がなされてきたと評価されてきたが、そうではなく、風致地区を都道府県や市町村行政がどのように運用してきたのかを含めて明らかにしない限り、風致地区制度の効果は判断できないことが、2019年度の調査によって明らかになった。 また、熱海市における1960年代の風致地区行政については都市計画学会にて発表を行なった(年間優秀論文賞受賞)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内業務量の増加(今年度より新規担当科目が4コマ増加)、夏季休暇中に学生を海外へ引率するプログラムの担当となったことなどから、研究時間を十分に確保できず、地方都市への資料収集のための研究出張が計画通りに実施できなかった。 結果、予定していた地域での調査の一部に着手できず、20年度に先送りすることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
別府市の風致地区行政について明らかにするための調査を実施する予定である。大分県立公文書館、大分大学図書館、別府市立図書館での資料収集を行う。 その上で、2018年度から明らかにしてきた、別府、玉名、湯河原、白浜の4地域における1960年代の風致地区行政とその運用実態を比較する論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
学内業務量の増加(今年度より新規担当科目が4コマ増加)、夏季休暇中に学生を海外へ引率するプログラムの担当となったことなどから、研究時間を十分に確保できず、地方都市への資料収集のための研究出張が計画通りに実施できなかった。 結果、別府・舞阪・湯河原を対象に調査を行う予定だったが、別府については着手に至らず、その他の都市についても必要な資料収集を完遂していない。以上の理由から補助事業期間の延長を申請したため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額の使途については、別府市に関する資料収集を想定している。
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Research Products
(1 results)