2019 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質建材の内部損傷評価に基づく促進試験条件の検討
Project/Area Number |
19K21101
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 光一 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 建築研究本部北方建築総合研究所, 研究職員 (00826787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多孔質建材 / 内部損傷 / X線CT / 凍害 / 暴露試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多孔質建材を対象に,内部損傷の観点から,実環境と促進凍結融解試験の対応を明らかにし,実環境における内部損傷を再現可能な促進試験条件を提案することを目的とした。昨年度までに,窯業系サイディングを対象とし,材料内部のひび割れや空隙を確認可能な撮影条件を明らかにし,サンプルのX線CT撮影を実施した。 本年度では,まず,断層画像の抽出位置,断層画像に対する二値化の方法,画像解析ソフトを用いたひび割れの検出方法などの画像解析条件を決定し,断層画像からひび割れ量を評価する手法を提案した。続けて,従来用いられているJIS A 1435の気中凍結水中融解試験後および長期間暴露後のサンプルについて,ひび割れの分布を評価した。気中凍結水中融解試験後のものは,ひび割れが全体的に生じており,劣化なしのものに比べてひび割れ量が顕著に増加した。一方,長期間暴露後のものは,ひび割れが下部に集中しており,断面損失が生じていた。長期間暴露後のものと気中凍結水中融解試験後のもので,内部損傷の分布に差異があることを確認できた。 次に,実環境を再現しうる促進条件を明らかにするために,促進条件として新たに下面吸水凍結融解を提案し,従来の条件(気中凍結水中融解,片面吸水凍結融解)と,ひび割れの分布について比較を行った。下部においてひび割れ量の増加傾向があったことから,3種類の促進条件のうち,下面吸水凍結融解後のひび割れの分布が,長期間暴露後のひび割れの分布に最も近いことを明らかにした。以上より,本研究においては,実環境を再現しうる促進試験条件として,下面吸水の促進条件を提案した。
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