2018 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界水熱還元場での異種金属酸化物からカルコゲナイド合金ナノシートへの変換反応
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18H05937
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中安 祐太 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (20827042)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 層状カルコゲナイド / 超臨界水 / 水素発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「超臨界水熱還元場」という特殊な反応場を用いることで、低温条件の下、化学的に安定な異種金属酸化物と固体カルコゲン元素から、カルコゲナイド合金ナノシートへの高速変換反応を達成することを目的とする。 超臨界状態とは、臨界温度(圧縮しても液体にならない最低温度)・臨界圧力を超えた物質状態を指し、溶解力と高拡散性の両方を保持している。本研究では、反応条件において固体状の金属酸化物と、液体状のカルコゲン元素が超臨界水に溶解することで、高拡散性を保持できる。したがって、拡散性が高いものの高毒性な硫化水素、水への溶解性が高いものの発がん性を有すチオウレアの代わりに単体硫黄を用いることが可能となる(セレン化物も同様)。さらに、超臨界流体は、層状カルコゲナイドへの剥離作用があり、変換反応後のナノシートの凝集/再積層を防ぐことも可能である。以上のことから、より簡素かつ安全なナノシート合成プロセスの設計が可能となる。既報において、超臨界水熱合成は、主に金属酸化物の合成に用いられており、金属カルコゲナイドの合成例は存在しない。それは、通常空気中や水中に酸素が存在するため酸化雰囲気となるからであるが、酸素消費を促す反応を引き起こすことで、酸化雰囲気を打ち消すことが可能となる。したがって、空気中や水中の酸素と反応し、かつ還元性を有する有機物を水に溶解させることで、還元場を設計することが可能である。還元場を用いる事で、目的生成物よりも酸化数の大きい金属酸化物と、酸化数が0のカルコゲン元素に対して、還元・硫化反応を引き起こし、金属酸化物から金属カルコゲナイドナノシートへ変換する。当該年度は、Mo(S,Se)2および(Mo,W)S2の合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、Mo(S,Se)2および(Mo,W)S2の合成に成功した。STEMやEXAFSを用いて詳細な構造特性評価を行うことで、固溶体が合成されていることを確認した。その後、水素発生反応の特性評価を行ったところ高い水素発生効率を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画通り詳細な反応メカニズムの解析を行っていく予定である。
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