2018 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成因子結合多糖の空間分布が異なるリン酸八カルシウム表面での骨形成挙動解明
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18H05938
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱井 瞭 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00824004)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | リン酸八カルシウム / 表面化学修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,グリコサミノグリカン(GAG)とリン酸カルシウムとの結合形成の起点となるアミノ基の表面修飾方法について検討した。アミノ基を有する分子として,11-aminoundecylphosphonic acid (11-AUPA)または3-aminopropyltrimethoxysilane (3-APTS)を選択し,基材となるリン八酸カルシウム(OCP)表面へのアミノ基修飾を試みた。具体的には,11-AUPAもしくは3-APTSを溶解させた有機溶媒中でOCPを処理することで,表面修飾処理を施した。X線光電子分光やラマン分光分析により,OCP表面にそれぞれのアミノ基含有分子が修飾されたことが認められた。加えて,表面に修飾したアミノ基とGAGとの静電的相互作用による結合もしくは共有結合の形成に先立ち,修飾したアミノ基のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中における安定性を評価した。その結果,OCPの溶解もしくは修飾分子-基材間の結合の弱さに起因し,修飾した分子の安定性が乏しいことが示唆された。 このことから,修飾したアミノ基の安定性を向上させるため,化学修飾処理後のOCPの加熱処理もしくは,OCPよりも溶解度の低い基材への修飾を試みた。その結果,加熱処理によって,OCPに修飾した11-AUPAおよび3-APTSの安定性が改善することが示唆された。また,基材の溶解度によっても安定性が向上する傾向にあった。加えて,PBS中でのゼータ電位測定により,アミノ基の修飾量は,選択した修飾試薬の種類によって異なることも示唆された。 これら本年度に実施した検討により,基材固定型もしくは徐放型骨形成タンパク質結合GAGモデルの設計指針を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,リン酸八カルシウム表面に修飾したアミノ基含有分子を基に,基材との結合強度の異なる骨形成タンパク質-グリコサミノグリカン(GAG)固定化モデルを構築する予定であった。しかし,OCP表面に修飾したアミノ基含有分子のリン酸緩衝食塩水中での安定性が乏しく,グリコサミノグリカンとの結合形成が困難であった。そのため,より安定的に修飾したアミノ基を固定化できるリン酸カルシウム基材の処理方法や,基材の選択についてさらなる検討が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
化学修飾処理後の加熱処理や基材の選択が,アミノ基の安定性に重要な因子であることが判明したことから,その点を踏まえて,OCPよりも溶解性の低い加水分解型リン酸八カルシウム(OCP)を基材として選択する。加水分解型OCPについてもOCPと同様,骨伝導性を示すことがこれまでに報告されている。加水分解型OCPへの安定的かつ高密度なアミノ基修飾が可能であることを確認し,その表面でのグリコサミノグリカン(GAG)との結合形成について検討する。これにより,リン酸カルシウム固定型GAG-BMP(骨形成タンパク質)モデルと徐放型GAG-BPMモデルを構築し,GAG-BMPの空間分布が間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に与える影響について評価する予定である。
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Research Products
(1 results)