2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K21105
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山野 範子 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20582795)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CHO細胞 / 動物細胞 / 染色体不安定性 / 染色体不分離 / 染色体異数性 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 自然に発生し、単離した、染色体数の異なる細胞株2種(DG44-SC20・DG44-SC39)とそれらを宿主細胞として作製した抗体生産細胞2種(IgG3-SC20・IgG3-SC39)の計4種類の細胞について、RNA-seq解析を行った結果の内容(高染色体数をもつ細胞において、生産するタンパク質量あたりに必要なmRNA量が少ないことが示唆された。パスウェイ解析を通して生産性向上に関わる経路を探索したところ、脂質代謝やヒストン修飾に関わる経路が、生産性に影響を及ぼす候補遺伝子群として抽出された。)について、Journal of Bioscience and Bioengineering誌に投稿し、受理された。 ② CHO-K1 細胞において中心体を過剰に形成させることが報告されているPoly(ADP-ribose) polymerases(PARPs)阻害剤3-アミノベンズアミド(3-AB)を培地中に添加し、組換えタンパク質の発現ベクターを導入していないCHO-K1細胞に染色体異数性を誘導した。その結果、染色体数が有意に増加したクローンを複数単離することに成功した。一方で、低染色体数をもつ細胞は単離できなかった。取得した高染色体数の細胞を宿主細胞として外来遺伝子を導入すると、導入される外来遺伝子のコピー数が高くなる傾向がみられた。 ③ 安定染色体に組換えタンパク質の発現ベクターを導入する試みを行った。具体的には、各染色体に対応した物理地図を作成しているCHOゲノムライブラリーの配列情報を用いて、ゲノム編集技術である CRISPR/Cas9システムにより、安定染色体に抗体発現ベクターを導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年5月から産前休暇を取得し、2019年の6月に出産した。出産後は産後休暇及び育児休業を取得し、2019年12月に研究室に復帰したため、主にその後数か月分の実績概要となる。ほぼ期待通りの結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
取得した細胞株について、再度遺伝子導入効率の評価を行い、外来遺伝子の導入効率が増加する理由を調べる。また、組換えタンパク質の生産性や品質に与える影響、継代安定性に関する評価を行う。各染色体の本数の増減、並びに、各染色体の転座の起こりやすさを統計的に解析することにより、染色体不安定性を持つ細胞における各染色体の安定性の違いについての評価を引き続き行う。安定染色体に抗体発現ベクターを導入した細胞株については、導入位置の確認と生産性の評価、さらに継代安定性に関する評価を行う。
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Causes of Carryover |
産前産後の休暇及び育児休業の取得に伴う補助事業延長のため、次年度の使用額が生じた。 細胞培養や染色体の解析、遺伝子発現解析、生産した組換えタンパク質の品質を確認するために、消耗品費と外注費が必要となる。
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Research Products
(3 results)