2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21110
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 和泰 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40821690)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノ構造 / 保護膜 / 電子材料 / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酸化シリコン中のシリコンナノ結晶をキャリア輸送経路とした新規導電性保護膜の開発を志向して実施された。近年、極薄シリコン酸化膜を保護膜として用いた結晶シリコン太陽電池が非常に高い変換効率を示すことが示された。この極薄シリコン酸化膜のキャリア輸送機構は未解明ではあるが、シリコン酸化膜中に存在するピンホールを介したキャリア輸送モデルが提案された。申請者は、シリコン酸化膜中のシリコンナノ結晶をキャリア輸送経路として応用することに着目し、新規導電性保護膜の基盤構築を目指した。 本研究では、シリコンナノドットの構造特性と電気的特性の相関を調査することにより、極薄シリコン酸化膜のキャリアの輸送機構に関する基礎研究を行った。試料は、シリコンリッチのアモルファス酸化シリコンを酸素リッチのアモルファス酸化シリコンで挟み込む順番でシリコン基板上に3層構造を製膜し、ついで熱処理を行うことにより酸化シリコン中にシリコンのナノ結晶を得た。製膜時の条件や熱処理条件が、構造や電気的特性に及ぼす影響を調査した。 まず、3層構造にすることで酸化シリコン中にシリコンナノ結晶が得られるかを調査した。断面の透過電子顕微鏡像から、酸素リッチ層が存在することによりシリコン基板からのエピタキシャル成長が抑制され、酸化シリコン中にシリコンのナノ結晶が形成されることを確認した。次に製膜後の熱処理の影響を調査した。熱処理温度の上昇に伴い、保護膜としての性能が低下し、電気抵抗は減少することが分かった。分光エリプソメトリーと断面の透過電子顕微鏡像から熱処理温度の上昇に伴い3層構造が結晶シリコンへ近づくことが確認できた。以上の結果は、酸化シリコン中のシリコンナノ結晶が電気伝導を担っていることを示唆し、保護性能と電気伝導を両立する導電性保護膜の開発が期待できる結果を得た。
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Research Products
(2 results)