2019 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期腰痛に対する慣性センサと筋骨格モデルを用いた運動特性可視化システムの構築
Project/Area Number |
19K21117
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森野 佐芳梨 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 助教 (10822588)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 妊婦 / 腰痛 / 骨盤ベルト |
Outline of Annual Research Achievements |
女性が妊娠するとその50%以上が腰痛を経験し、その症状は出産後も遷延化することで生活の質を低下させる大きな問題となっている。これに対し臨床では、妊娠期腰痛の原因である腰部の筋負荷軽減効果を期待し、骨盤ベルトが使用される例が多いが、骨盤ベルトによる妊娠期腰痛防止効果のメカニズムは明らかではない。そこで本研究では、妊婦を対象に骨盤ベルト装着と未装着の両方の状態で動作解析を行い、骨盤ベルトの腰痛防止効果のメカニズムを明らかにすることを目的とした。動作解析では、小型かつ軽量で対象者への負担の少ない慣性センサ(Inertial measurement unit: IMU)を用いた。具体的には、20個のIMUをシート状に配列した装置を脊柱に沿うように装着し、そこから得られる情報により体幹の動きを詳細にとらえた。この結果、妊婦が骨盤ベルトを装着すると、椅子の立ち座りにおける体幹の屈曲伸展動作が抑制され、体軸に対する上下方向への運動が大きくなることが分かった。一般的に、椅子から立ち上がる際には、体重心位置を支持基底面である座面から足部の位置に前方移動させる必要がある。同様に、着座動作においては両足部による支持基底面から座面の方に体重心を後方移動させ、バランスを保つ必要がある。この運動は主に体幹の屈曲伸展動作により行われるが、妊娠中は腹部の重みにより当該動作中の腰部への負荷が増大し、これが腰痛発生に寄与する。また、これらは脚部や体幹部の支持性が低いほど大きくなることが考えられる。これに対し、本研究結果より、骨盤ベルトを装着し脊柱下部を内包する骨盤部の支持性が上がることにより、体幹を過度に屈曲伸展させることなく、上下方向の推進力により動作を行うことが可能になったと考える。これは、椅子の立ち座りにおける腰部への負荷を軽減させることとなり、これが腰痛軽減へとつながる可能性がある。
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