2018 Fiscal Year Annual Research Report
経頭蓋磁気刺激法で解明する神経振動子の認知機能への影響
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18H05966
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小野島 隆之 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (00824757)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 頭皮脳波 / 経頭蓋磁気刺激法 / 自己回帰モデル / 非線形振動子 / 位相応答曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,脳波を非線形振動子と見做し,外部刺激による応答を検出することで,脳内の同期現象の起こりやすさを検証することを目的としている.そのために,経頭蓋磁気刺激(Transcranial magnetic stimulation:TMS)を与えている頭皮脳波データを対象に刺激による脳波位相の変化を検出する手法の提案と検証を実施している. 刺激による脳波位相の変化を検出するためには,刺激直前の脳波位相と刺激によって変化した脳波位相を求める必要がある.しかしながら,脳波データにはノイズが多く含まれており,バンドパスフィルタなどを用いなければ周期的な活動を抽出することができず,このフィルタの影響で刺激による位相の変化を検出することが難しい.さらに,TMSを与えた直後の脳波データは磁気刺激由来のアーチファクトが発生しており,これも除去しなければ解析できない.そこでアーチファクトが存在する刺激直後のデータを除外し、その前後のデータから脳波を予測することにより,刺激による脳波位相の変化を検出する手法を構築した. 次に,ニューラルマスモデルという脳波のモデルに実験で用いる磁気刺激と近い入力を与えたときの活動を数値シミュレーションで計算した.提案手法をこのデータに対して適用し刺激による脳波位相の変化を検証した.さらに,実際のTMSを与えている脳波データに対して構築した手法を適用し,問題点を検討した.この内容は国際会議(3rd International Brain Stimulation Conference)で発表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,脳波位相の変化を検証するための手法の大枠を構築し数値シミュレーションで作成したデータでの検証も実施することができた.また、既存の実データへの適用も試みることができおおむね順調だと考えている. とはいえ,実データに本格的に適用するには手法のさらなる改良が必要である。とくに脳波の予測精度を向上するために予測方法と脳波計測の両方面から改良していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,脳波の予測精度を向上させるために推定手法の改良をしていきたいと考えている.また,予測精度を検証するために,TMSを与えていない通常の脳波データを用いて脳波そのものがどの程度予測可能なのかを先に検証する.その上でもう一度TMSを与えている脳波データに対して提案手法を適用し,脳波位相の変化を推定する予定である.
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