2019 Fiscal Year Annual Research Report
不活性sp3C-H結合のアルデヒドへの触媒的不斉付加反応の開発
Project/Area Number |
19K21123
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三ツ沼 治信 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (20823818)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | C-H結合活性化 / ラジカル反応 / 光触媒 / クロム触媒 / 単純アルケン / アルデヒド / 触媒的不斉アリル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の提案では炭素ラジカルの付加が通常進行しないとされるアルデヒドを求電子剤とし、第一列遷移金属触媒によるラジカル種の有機金属種への変換を基軸とした単純アルカンC-H結合の触媒的不斉付加反応の開発に取り組んだ。アルデヒドの触媒的不斉アリル化によるキラルホモアリルアルコールの合成反応は有機合成化学において重要な反応である。しかし、アリルハライドやアリル金属種のアルデヒドへの求核付加反応による従来の合成法においてはアリルハライドやアリル金属種の事前調製が必要であり、原子効率や工程数の観点から望ましくない。単純炭化水素アルケンの不活性なアリル位C-H結合を温和な条件にて活性化し、反応系中で求核的キラル有機金属種を発生させることができれば、水素移動のみを伴う理想的な触媒的不斉アリル化が可能となる。今回アリル位C-H結合のラジカル的活性化が比較的温和な条件で進行することを利用し、生成したアリルラジカル種をキラル遷移金属錯体触媒によりアリル金属種へと変換することでアルデヒドの触媒的不斉アリル化反応を行うことした。反応条件の検討の結果、室温、可視光という温和な条件下、塩化クロム触媒・IndanBOX配位子とアクリジニウム光触媒のハイブリッド系にて所望の反応が円滑に進行することを見出した。また本反応では過塩素酸マグネシウムの添加が反応性、エナンチオ選択性の向上に効果的であった。反応機構解析によりこのマグネシウム塩はアルケンの一電子酸化過程を加速していることが示唆された。本研究はC-H結合から触媒的に系中で求核的なキラル有機金属種を発生させた世界初の例である。
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Research Products
(19 results)