2018 Fiscal Year Annual Research Report
一電子酸化還元を活用したホウ素医薬品の合成手法の開発
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18H05973
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長尾 一哲 金沢大学, 薬学系, 博士研究員 (50825164)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 一電子酸化還元 / ホウ素医薬品 / 遷移金属触媒 / 不活性結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素医薬品は新たな低分子医薬品の骨格として注目を集めている。現在までに報告されているホウ素医薬品の骨格パターンは大まかにボロアミノ酸と環状ボロールとの2つに分けられる。ホウ素官能基は比較的安定ではあるものの、酸化還元反応によって分解する恐れがあるため、比較的合成後期で導入するのが望ましい。たとえば、ボロアミノ酸や環状アルキルボロール合成においては、未だ困難とされる炭素ホウ素結合形成を直裁的かつ選択的に実現するかが鍵となる。本研究では、遷移金属触媒あるいは光酸化還元触媒による一電子還元に基づいた炭素ホウ素結合形成反応を用いて、入手容易な化学原料からホウ素含有医薬品や医薬品リード化合物を合成する手法の開発を目的とする。 入手容易な環状エーテル化合物の炭素酸素結合への形式的なホウ素原子挿入反応を開発した。①環状エーテル化合物をルイス酸であるハロゲン化アシルで一度開環、②ハロゲン化アルキル部位に銅触媒によるホウ素置換基の導入、③アシル基の除去と再環化の三段階で環状エーテル化合物から対応する環状アルキルボロールを合成することが出来た。当初の予定したホウ素系のルイス酸ではなく、ハロゲン化アシルで環状エーテルを開環し、銅触媒でホウ素官能基を導入することとした。適切なハロゲン化アシルの選択により、環状エーテルから高収率で開環体を得ることが出来た。本反応によって5員環エーテル構造に形式的にホウ素原子を導入し、6員環アルキルボロールを合成することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ルイス酸と銅触媒によるホウ素化を組み合わせることで環状エーテルから環状アルキルボロールの新たな合成方法を開発することが出来た。本成果はこれまで合成方法が確立されていなかった環状アルキルボロールの合成方法の指針を示すことが出来た。これにより、天然や医薬品に含まれる環状エーテル化合物から対応する環状アルキルボロールを迅速に合成することが可能になり、創薬研究の加速につながると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したアルキルボロールのルイス酸によるエーテルの開環、銅触媒ホウ素化、脱保護の各段階の最適化を行う。最適化後、様々なエーテル化合物に対して本反応を適用し、対応する環状アルキルボロールの合成を行う。ワンポット合成への展開も行う。光酸化還元触媒を利用したボロアミノ酸合成の反応開発に着手する。
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Research Products
(1 results)