2019 Fiscal Year Annual Research Report
環状ホウ素アート錯体の1,2-メタレート転位を鍵とする多官能性分子骨格の迅速合成
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19K21128
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
溝口 玄樹 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90818519)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機ホウ素化合物 / アート錯体 / 1,2ーメタレート転位 / ボラサイクル / 多成分連結反応 / アライン |
Outline of Annual Research Achievements |
有機ホウ素化合物は現代の有機化学における中間体として欠かせないものであり、また、ホウ素医薬品など生理活性分子としても有用である。三次元的に複雑な構造を有するアルキルボロン酸誘導体は天然物・医薬品の合成や生理活性分子として有用であると期待されるため、その効率的な合成法の開発に興味が持たれている。本研究では、ビニルボロン酸エステルアート錯体の1,2-メタレート転位を活用することで、シンプルなビルディングブロックから高度に置換された有機ボロン酸エステルを構築する合成プロセスを検討した。 本研究では1)環縮小型メタレート転位による多官能性シクロアルキルボロン酸エステルの立体選択的合成および2)アラインを求電子剤とする多成分連結型メタレート転位について検討を行った。 環縮小型メタレート転位については、当初分子内に導入した水酸基をホウ素に配位することで反応性と立体選択性を制御するアプローチを検討してきた。しかしながら期待した遷移状態が取れないためか目的の反応を進行させることができなかった。そこで、水酸基の配位を必要としない反応系を検討したところ、収率に改善の余地を残すもののセレン化剤をトリガーとする環縮小型メタレート転位を見いだすことができた。シンプルな基質から、セレン、シアノ基、ボロン酸エステル構造を持つインダンが立体選択的に得られた。 また、アラインをトリガーとするメタレート転位では、ビニルボロン酸エステルと有機金属から発生させたアート錯体に対しベンザインを求電子剤として反応させることで、ビニル基のベンザインへの付加、メタレート転位、生じたアリールアニオンのホウ素への環化が一挙に進行しボリン酸エステルを与えることを見出した。また、本反応の基質適用範囲について初期的な結果を検討を行った。
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