2019 Fiscal Year Annual Research Report
三元系有機太陽電池の活性層界面制御を指向した新規半導体材料の開発
Project/Area Number |
19K21129
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
斎藤 慎彦 広島大学, 工学研究科, 助教 (10756315)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機太陽電池 / n型材料 / 半導体ポリマー / 三元系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機薄膜太陽電池において結晶性p型半導体ポリマーPTzBTおよびPTzBTEとフラーレン誘導体であるPCBMの二元系ブレンド膜に少量の第三成分として長波長吸収を有する非フラーレンn型材料を添加した少量添加型三元系ブレンドにすることで効率を向上させることを目指した。 まず、第三成分となる非フラーレンn型材料の合成検討と近赤外領域まで吸収帯を有する非フラーレンn型材料を第三成分材料として添加する検討を行った。非フラーレレンn型材料としてITIC、IT-4F、IT-Mなどの可視光領域を幅広く吸収する(~800 nm)材料でけでなく、IEICO-4F、COi8DFIC、Y6といった近赤外領域(~950 nm)まで吸収帯を有する材料を用いて少量添加型三元系太陽電池を作製、評価したところ、ITICやIT-M、IT-4Fなどでは従来のPTzBT/PCBMの二元型素子(~7.5%)に比べて大幅に変換効率が向上し、10%を超える光電変換効率を示した。また、IEICO-4FやCOi8DFICは変換効率が9%程度ではあるものの、外部量子効率は非フレーレンn型材料の領域でも50%程度までは発電しており、開放電圧(VOC)バンドギャップで定義されるエネルギーロスは0.5 eVを下回る値まで低下することが明らかとなった。一方で、Y6を用いた場合、外部量子効率は20%程度と低下しており、これはY6の結晶性が高いため、PTzBTとPCBMとの界面に分散していないことが示唆され、第三成分材料の結晶性も重要な要素であることが明らかとなった。また、p型ポリマーとして PTzBTよりも深いHOMOを有するPTzBTEを用いることで開放電圧は0.03Vほど向上し、有機薄膜太陽電池の変換効率向上のボトルネックの一つと考えられているエネルギーロスをさらに低下させることに成功した。
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Research Products
(2 results)