2019 Fiscal Year Research-status Report
分子配向構造の精密設計に基づく多彩な白色偏光発光材料の創製
Project/Area Number |
19K21131
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
久野 恭平 立命館大学, 生命科学部, 助教 (30822845)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 偏光発光 / 分子配向 / 液晶 / フィルム / 光学素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,単一素材かつ一枚のフィルムでありながら,白色偏光発光する新材料の創製を最終目標とする。既存の偏光発光材料は分子構造設計により開発されてきたが,偏光度が極めて低い課題があり,新たな材料設計指針の開拓が急務である。具体的には,(1) 分子配向構造と偏光発光挙動の関係を詳らかにするとともに,(2) 固体状態において高効率な発光を示す分子の合成,(3) 発光機能評価の3項目に焦点を絞り,新たな発光材料を創製することを目的とした。発光特性と偏光特性を機能分離した材料設計においては,優れた発光特性を有する分子を合成するとともに,ナノ・マイクロオーダーの緻密な分子配向構造設計が極めて重要である。すなわち,有機合成的アプローチにより発光特性に優れた分子を合成し,分子配向制御により偏光モードを付与するといった機能分離に基づく材料設計を利用することで,自在な偏光モードを示す革新的な白色偏光発光フィルムの実現が可能であると考えている。これまで,1~3次元にわたる分子配向性フィルムの作製に成功しており,偏光発光を示すことを見出している。そこで本年度は,一般的な有機分子が分散状態で強い発光を示すのとは異なり,固体状態において強い発光を示す凝集有機発光材料の合成に取り組んだ。多種多様な金(I)錯体を合成したところ,固体状態で極めて高い量子収率を示す室温リン光発光材料や液晶状態においても発光を示す材料の合成に成功した。これらの発光の鍵は,金(I)錯体が凝集状態において形成する親近相互作用であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年9月までに,多彩な分子配向制御技術を利用した分子配向性フィルムの作製について検討を行い,令和2年3月までに,多彩な凝集有機発光材料の合成および偏光発光材料への展開へと取り組んできた。いくつかの結果について論文発表・学会発表を行うとともに,論文発表を行った。したがって,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
繰り越しにより,令和2年3月までに得た結果の国際会議発表および論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年3月までに,本研究において鍵となる凝集誘起発光材料の合成および分子配向制御による偏光発光特性の付与へと展開してきた。令和2年3月までに得た成果のより詳細な検討のために必要な物品を購入するとともに,成果を国際会議および論文にて発表するために次年度予算を執行する予定である。
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