2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of nanomaterials transport and integration using photoinduced motion of organic crystals
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18H05986
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 滉一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (00828296)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 光応答性有機材料 / アゾベンゼン / 移動現象 / 走光性 / 有機結晶 / ナノ材料集積技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光誘起移動を示す有機結晶を利用した新規ナノ材料集積技術の開発を目的とする。光誘起移動を示す結晶にナノ材料を吸着または導入させれば、光によって様々なナノ材料を所望の位置(他のナノ構造や電極上)へ簡便に移動させられるため、デバイス作製の幅が飛躍的に向上することが期待される。 今年度は、ナノ材料運搬に適した有機結晶を探索する中で、アミノアゾベンゼン系の化合物の一つが単色光の照射のみでガラス基板上をアメーバのように移動することを新規に見出した。光源から遠ざかる方向に移動するため、負の走光性を示したと言える。従来の結晶は、紫外光により光異性化して結晶の融解が促進され、可視光により再結晶化が促進される性質をもつため、それぞれの光を別々の方向から同時に照射することで移動を誘起していた。一方、本系で用いた化合物は電子供与性のアミノ基をもつため光異性化後の熱戻りが速く、光で融解してもすぐに再結晶化するため、光異性化の励起光のみで移動が可能になったと考えられる。移動速度と励起光波長の依存性を調べたところ、紫外光のみでは明確に移動せず、青色の可視光では移動を示した。また、白色LEDの照射によっても移動現象を生じることを見出した。従来の系に比べて非常に簡便に結晶の移動を誘起できるため、ナノ材料等の運搬に適した材料であると考えられる。光から逃げるように有機結晶が移動する本現象は新奇なソフトマテリアル、マイクロモーター、マイクロ流体システム等の発展にもつながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったナノ材料運搬を試みる前に有機結晶の新規な光誘起移動現象を見出したことで、その機構と性質について研究を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、有機結晶の負の走光性について機構解明と一般性について調べるとともに、ナノ材料運搬も実施することで移動現象の応用を試みる。
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