2019 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱性古細菌由来ペルオキシレドキシンを基盤とする新規人工金属酵素の開発
Project/Area Number |
19K21133
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
氷見山 幹基 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (90828310)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人工金属酵素 / 金属錯体 / タンパク質 / ペルオキシレドキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
人工の金属錯体触媒をタンパク質に固定した人工金属酵素は、触媒の反応性・選択性をタンパク質骨格の最適化により向上可能である。本提案では、超好熱性古細菌由来ペルオキシレドキシンPrxを足場タンパク質とした人工金属酵素開発を計画した。Prxは極めて熱に強いため、高温での利用が期待できる。また、Prxは酸化処理により分子集合状態をコントロール可能であり、人工金属酵素の触媒部位の集積という新たな開発の方向性を展望できる。 Aeropyrum pernix K1由来Prx(ApPrx)を足場タンパク質として鉄二核ヒドロゲナーゼモデル錯体を結合し、水素発生反応を触媒する人工金属酵素を開発した。この鉄二核錯体がタンパク質へ定量的に結合可能であり、結合の結果水中で安定に分散可能であることを確かめた。水素発生触媒としての活性を評価しており、論文を執筆中である。 また、ApPrxの四次構造変換に関する知見も得た。ApPrx はホモ二量体が5つ集合した特徴的なリング状十量体構造を形成する。ApPrxの十量体を構成するホモ二量体間のアミノ酸残基に変異をかけると、十量体構造をホモ二量体に解離できることを見出した。結晶構造解析および溶液中でのサイズ評価によりこれを確認した。リング状十量体構造の役割の解明や、酸化還元に頼らず人工金属酵素の分子集合状態をコントロールする上で重要な知見である。この内容に関して論文を報告した。 構造未知のPrxであったThermococcus kodakaraensis由来Prx(TkPrx)の結晶構造を解明し、論文を報告した。ApPrxと異なるリング状十二量体構造を形成したことから、人工金属酵素の新たな足場タンパク質として有望である。
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Research Products
(7 results)