2018 Fiscal Year Annual Research Report
異種金属イオン間での分子内O-O結合形成機構に立脚した新規酸素発生錯体触媒の創製
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18H05990
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪ノ内 優太 新潟大学, 自然科学系, 特任助教 (90823972)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 人工光合成 / 分子性触媒 / 酸素発生反応 / 異種金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成および人工光合成において水からの酸素発生反応は極めて重要なプロセスである。植物の光合成の酸素発生触媒中心であるMn4Ca錯体は、CaとMn間の分子内O-Oカップリング機構によって反応を促進すると提案されているが、その詳細は憶測の域を出ない。一方、異種金属イオンからなる複合金属酸化物が高い酸素発生触媒能を示すことが報告されているが、それらの触媒機構も未解明である。このように酸素発生反応では、異種金属イオンが重要な役割を果たしていると推定されるが、役割および機構は明らかにされていない。 本研究課題では、アンチリジン架橋配位子を用いて新規異種金属二核錯体を合成し、分子内O-Oカップリング機構に立脚した高活性な酸素発生錯体触媒の開発を目指す。また、機構解析によりO-O結合形成に及ぼす異種金属イオンの効果を明らかにする。 アンチリジン架橋配位子を有するルテニウム単核錯体を文献法に従って合成し、そのルテニウム錯体に種々の異種金属単核錯体を反応させることで異種金属二核錯体の合成を試みた。イリジウム単核錯体を作用させ得られた反応溶液に、飽和NH4PF6水溶液を添加し、カチオン性化学種を沈殿させることで暗褐色固体を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて精製することでルテニウム-イリジウム異種金属二核錯体を得ることに成功した。また、1H-NMRおよびUV-Visスペクトル測定から錯体が水溶液中において安定に存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画通り新規な異種金属二核錯体の合成に成功した。さらに、その錯体が水溶液中で安定であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した異種金属二核錯体の酸素発生触媒活性の評価とその触媒反応機構の解明に着手する。
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