2019 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト構造をモチーフとした電荷分離空間の創製と応用
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19K21139
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
梅山 大樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (00821480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二次元複合ペロブスカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
金属ハロゲン化物に有機物を加えた二次元ペロブスカイト構造を研究対象とし、MX2(pz)2(M = Fe, Co, Ni, Zn; X = Br, I, SCN; pz = ピラジン)を合成した。この構造は空孔サイトを持つ三次元ペロブスカイト構造であるFeF3を二次元状に展開したものとネットワークトポロジーが等しい。 これらの化合物の熱的ふるまいを調べたところ、構成要素であるピラジン分子が異なる温度で脱離する現象が見られた。MX2(pz)2は正方格子をもち、構造中のピラジンは化学的にすべて等価であるにも関わらず、上述の熱的に非等価なふるまいがM, Xの組み合わせによらず普遍的にみられた。このような非等価性は他の物質においても観測されることが文献調査によりわかったが、そのメカニズムについては未解明であったため、CoBr2(pz)2を題材として以下に示す解析を行った。 ・活性化エネルギーの推定 熱重量特性を昇温速度4, 8, 16 K min-1で測定した。CoBr2(pz)2からピラジンが二段階に脱離する反応の進行率をXで表す。昇温速度が違っても同一の反応率Xにおいては反応速度関数は等しいと仮定し、Xの時間微分を1/Tに対してプロットすることで反応の活性化エネルギーを推定した(Friedman法)。この方法によって一段階目、二段階目の反応の活性化エネルギーをそれぞれ159 kJ mol-1, 132 kJ mol-1と算出した。 M = Co, X = SCNの物質についてはX = Brの物質と類似の構造を持つにもかかわらず、熱的ふるまいが大きく異なる。なぜこのような違いが生じるのか、結合エネルギー等の因子を考慮することで今後検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で当初想定していた金属ハロゲン化物からなる三次元ペロブスカイト構造を用いた機能開発は材料合成の面で計画通り進行しなかったため、研究計画の見直しを行い、金属ハロゲン化物に有機物を加えた二次元ペロブスカイト構造へ研究対象の変更を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
「熱的ふるまいの行儀の良し悪し」と「反応物の構造中の凝集力のばらつき」を定量化するため、「熱重量(TG)曲線」と「反応物の結晶構造」を解析し、種々の数値をパラメータとして抽出する。 CoBr2(pz)2ではTG曲線がステップ状の熱分解を示す「行儀の良い」熱的ふるまい、Co(SCN)2(pz)2ではTG曲線がダラダラした熱分解を示す「行儀の悪い」ふるまいがみられる。このような見た目に基づいた定性的な分類は、TG曲線の導関数の二乗の積分(以下「DTG2積分」と呼ぶ)をとることで定量化できる。目標はこの「DTG2積分」とよく相関するパラメータを見出すことである。有望なパラメータの一つとして、「反応物の構造が持つ個々の結合のエネルギーが、その物質の全結合エネルギーに占める割合」が挙げられる。この他に、「反応物の構造が持つ結合エネルギーの標準偏差」も有力なパラメータである。 上述の数値はCIF構造に基づいたDFT計算によって容易に得ることができる。このようにして得た各数値パラメータとDTG2積分について回帰分析を行うことで、様々な複合物質の熱的ふるまいを普遍的に支配する特徴量を抽出することを今後の目標とする。
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Causes of Carryover |
研究計画に変更および遅れが生じたため年度内に執行せず、翌年度分とした。変更後の研究計画の物品購入費として使用予定である。
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Research Products
(2 results)