2020 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト構造をモチーフとした電荷分離空間の創製と応用
Project/Area Number |
19K21139
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
梅山 大樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 独立研究者 (00821480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ペロブスカイト構造 / 固体反応 / 二次元物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元ペロブスカイトの構造モチーフを有する錯体MX2(pz)2(M = Fe, Co, Ni, Zn; X = Br, I, SCN; pz = ピラジン)について、熱重量測定(TGA)によってピラジン分子が部分的に脱離することが分かった。このうち、最も明瞭な階段状のTGA曲線を示すCoBr2(pz)2について、等温保持法によって熱反応の進行を解析し、固相反応機構の解析を行った。一段階目のピラジン脱離プロセスについて、一次元の界面律速反応の速度論式を用いてシミュレーションした結果、実験値と良好なフィッティングが得られた。一次元界面律速反応は、熱反応の反応物と生成物の結晶構造とも整合性があり、CoBr2(pz)2の二次元シート構造に垂直な反応面が、シートと平行に一方向に進行していくことで、反応物の一次元構造が生成することが示唆された。固相反応によって得られた生成物の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行うと、反応物に由来するプレート状のモルフォロジーの中に、プレート面に垂直なクラックが多数生じていることが明らかとなった。クラックの生成は、二次元シートに垂直な反応面が進行して生成物の結晶が成長する一次元の界面律速反応機構と整合しており、TGAによる解析を裏付ける結果である。異なる温度でのTGA解析により、CoBr2(pz)2の反応機構は温度に依存せず一定であることが分かった。また、NiBr2(pz)2についても同様の解析を行い、一次元界面律速反応で反応が進行することが示唆された。これらの結果から、MX2(pz)2が有する二次元ペロブスカイトの構造モチーフは金属イオン種に寄らず普遍的な熱反応機構を有することが示唆された。
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