2018 Fiscal Year Annual Research Report
イネの体内リンリサイクリングに関連する遺伝子の新規同定
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18H06002
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三谷 奈見季 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (40581020)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | リン / 転流 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
肥料の三大要素の一つであるリンは、土壌から吸収される他、植物体内での古い組織から新しい組織への再分配の寄与が比較的多いとされる。しかしその再分配のメカニズムに関しては多くが未解明であることから本研究ではリンの再分配に焦点を当て、リンの体内リサイクリングの分子メカニズムを解明することを目的としている。 本年度はイネの葉身の組織別マイクロアレイデータや、葉位別養分欠乏別マイクロアレイデータから二つの候補遺伝子OsSultr3;3とVPE2を選抜し機能解析等を行った。発現解析の結果、OsSultr3;3は展開葉の主に葉身でリンに応答せず恒常的に発現していた。pOsSultr3;3-GUSを導入した形質転換イネを作成し組織局在を調べた結果、主に維管束に高発現していた。細胞内局在を明らかにするため、GFP融合タンパク質をタマネギの表皮細胞あるいはイネのプロトプラストに発現させたところ、GFPのシグナルは細胞膜に検出された。さらにこの遺伝子の破壊株は玄米へのリンの蓄積が野生株に比べて著しく低下することを見出した。また、VPE2に関して発現解析を行った結果、根から地上部まで植物体全体で発現しており、リン欠乏に応答しその発現が数倍上昇した。また上述と同じ手法で細胞内局在を調べるとVPE2は液胞膜に局在していた。さらにこの遺伝子の破壊株は古い組織から新しい組織へのリンの移行が減少しており、収量生育ともに抑制される傾向を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に書いた通り、当該年度は変異体を用いた生理機能の解析や定量PCRをもちいたイネの器官および生育時期別に詳細な発現解析、また組織あるいは細胞内局在の解析を遂行し、候補遺伝子の機能を証明する大事な知見を得られたことから、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を受け、今後は二つの候補遺伝子に関してまだ明らかにされていない輸送基質の解析をアフリカツメガエル卵母細胞あるいは酵母を用いて行うとともに、栄養成長期における各候補遺伝子の働きについても変異体を用いた詳細な解析によって明らかにしていく。
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Research Products
(2 results)