2019 Fiscal Year Annual Research Report
イネの体内リンリサイクリングに関連する遺伝子の新規同定
Project/Area Number |
19K21145
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三谷 奈見季 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (40581020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リン / イネ / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究スタート支援の援助を受け、リンの体内リサイクルに関する分子機構の研究を進めた。その中でLMDを用いた大維管束のトランスクリプトーム解析の結果から、ミネラル欠乏条件下のソース器官の維管束組織で高発現している輸送体遺伝子OsSultr3;3を選定し、その機能解析を試みた。この輸送体はイネの地上部、特に葉身で高く発現していた。GFPをもちいた一過性発現系により細胞内局在を解析したところ、細胞膜に局在していた。遺伝子の上流プロモーター領域とGFPをつないだコンストラクトでイネを形質転換し、GFPの発現を抗GFP抗体をもちいて免疫組織染色した結果、維管束組織内に発現が確認できた。さらに、プロテオリポソームを用いて輸送活性を見たところ、リン酸の内向き輸送活性を持つことが明らかになった。T-DNA挿入による変異体の表現型を解析したところ、変異体においては下位葉にリン酸が蓄積し、上位葉ではわずかに減少していた。以上の結果からOsSultr3;3はリンの葉での維管束内輸送(xylem to-phloem transfer)を介した再分配に関わることが示唆された。これらの研究結果は第60回日本植物生理学会年会にて発表した。さらにこの輸送体の欠損変異体の収量が野生型と比較し大きく減少することから、リンの再分配が栄養成長期のみならず、生殖成長期においても重要であることが強く示された。生殖成長期における本輸送体の具体的な役割については今後明らかにしていく必要があると考えられる。
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Research Products
(1 results)