2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H06004
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
緋田 安希子 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (70825760)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | タバコ野火病菌 / ホウ酸 / 走化性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ酸走化性は植物病原菌において重要な役割を担う可能性が高いことから、タバコ野火病菌Pseudomonas syringae pv. tabaci 6605 (Pta) のホウ酸走化性の解析を行った。まずはPtaにおけるホウ酸走化性センサータンパク質の特定を試みた。はじめにPtaの走化性センサー(MCP)のうち、青枯病菌のホウ酸走化性センサーMcpBの相同タンパク質Mcp05に着目し解析を行った。mcp05破壊株についてホウ酸走化性を測定したが、野生株との有意な差は見られなかった。そこで同属でありホウ酸走化性を示さない緑膿菌へPtaのmcp05を導入し解析したところ、mcp05異種相補株において明らかなホウ酸走化性応答が確認された。これにより、確かにMcp05がホウ酸走化性に関与することが明らかとなった。しかし、Ptaにおけるメインのホウ酸センサーは別に存在することは明白である。そこで次にその他のホウ酸センサーの特定を試みた。Ptaの保有する45を超えるMCPのうち、ホウ酸走化性を示さない他のPseudomonas属に存在しないMCP(計16)を選抜し、同様の異種相補試験により解析を行った。しかし、Mcp05以外にホウ酸走化性に寄与するものを見出すことはできなかった。青枯病菌ではMcpBのみがホウ酸走化性を担うのに対し、PtaではMcpB相同タンパク質(Mcp05)以外の新たなホウ酸センサーが存在することは明らかである。当該ホウ酸走化性センサータンパク質の発見はホウ酸走化性の知見を深める重要なものとなる可能性が高く、早急に特定する必要がある。今後は、異種株のためうまく機能しなかった可能性を考慮し、Ptaにおいて各MCP遺伝子を高発現させホウ酸走化性応答の向上を指標としてホウ酸走化性センサーの特定を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タバコ野火病菌のホウ酸走化性に関わるセンサータンパク質をすべて特定しホウ酸走化性の完全欠損株を構築する予定であった。しかし、異種相補試験ではMcp05の関与は明らかにできたものの、その他に存在するであろうホウ酸センサーの特定には至らず、当初の計画であったタバコ野火病菌のホウ酸走化性完全欠損株を取得できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
タバコ野火病菌のホウ酸走化性完全欠損株を構築するため、Mcp05以外にホウ酸走化性に関わるセンサータンパク質を特定する。緑膿菌への異種相補試験では上手くいかなかったことから、タバコ野火病菌自体において候補となるセンサー遺伝子を過剰発現させ解析することで残るホウ酸走化性センサーの特定を試みる。それにより特定したホウ酸センサーとMcp05の多重破壊株を作製しホウ酸走化性完全欠損株を取得する。そして当該変異株を用いてタバコ葉への接種実験(植物感染実験)を実施し、葉から感染する病原菌におけるホウ酸走化性の役割を解析する。 また根から感染する青枯病菌においても、ホウ酸走化性の植物感染への役割を解析する。感染実験系に植物生育必須元素であるホウ酸を含ませなくてもよいように工夫することで、感染に際する根への接近・定着にホウ酸走化性が寄与するかを評価する。
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