2019 Fiscal Year Annual Research Report
カキ果実のカロテノイド合成に光質が及ぼす影響とそのメカニズム
Project/Area Number |
19K21149
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
渋谷 知暉 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (60818219)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カキ / 果実 / カロテノイド合成 / 光応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
カキ果実の着色程度は市場価値に大きく影響する要因の一つであり、着色に影響するカロテノイドの蓄積は気温と光によって影響されることが知られている。加えて、カロテノイド類の多くは体内でビタミンAに変換されることや抗酸化力を持つことから、食品機能性の面でも重要な成分である。本研究では、どの色(波長域)の光がカキ果実におけるカロテノイドの生合成に寄与するのか検討した。2019年度は、カキ‘西条’の成熟期果実に樹上でLED照射を行い、主要なカロテノイド分子の蓄積に及ぼす光質の影響について検討した。耐候性を考慮してLED照明を見直し、赤色光(ピーク波長:670nm)および遠赤色光(ピーク波長:735nm)を用いた。比較のため、遮光した暗黒区と処理を行わない自然光区を設けた。9月下旬よりLED照射を行い、照射開始後2週間および4週間に果皮の採取を行い、カロテノイドを抽出しHPLC-PDAを用いて各カロテノイド分子種の測定を行った。その結果、カキ‘西条’の着色は、カキ‘富有’で明らかにされているのと同様にβ-クリプトキサンチンとゼアキサンチンの増加が主要因であると考えられた。カキ‘西条’において赤色光はこれら2種のカロテノイド、特にゼアキサンチンの蓄積を顕著に促進することが明らかになった。加えて、赤色光はカキ果皮における成熟に伴うルテイン含量の減少を抑えることが示唆された。一方で、植物の光応答メカニズムの一つとして、赤/遠赤色光受容体であるフィトクロムを介した経路が良く知られているが、遠赤色光を照射した場合は、赤色光照射時とは異なり、カキ‘西条’の果皮においてカロテノイドの蓄積を促進することはないと考えられた。
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