2019 Fiscal Year Annual Research Report
小型染色体がもたらすフザリウムの宿主特異性決定機構の解明
Project/Area Number |
19K21154
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鮎川 侑 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (80824474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キャベツ萎黄病菌 / シロイヌナズナ / エフェクター / 宿主特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、キャベツ萎黄病菌の小型染色体に座乗するエフェクター遺伝子の特定を目指した。エフェクター予測プログラムを用いて、キャベツ萎黄病菌のゲノム塩基配列から260個のエフェクター候補遺伝子を特定した。シロイヌナズナへの病原性に必要なゲノム配列には、10個のエフェクター候補遺伝子が含まれ、キャベツへの病原性に必要なゲノム配列には、21個のエフェクター候補遺伝子が含まれていた。次にシロイヌナズナおよびキャベツ感染時のトランスクリプトーム解析を行い、高発現するエフェクター候補遺伝子を探索した。21個のキャベツに対するエフェクター候補遺伝子のうち、1個の遺伝子が高発現していた。この遺伝子は、キャベツへのエフェクター遺伝子として既に報告されたSIX1であった。一方で、10個のシロイヌナズナに対するエフェクター候補遺伝子のうち、2個の遺伝子が高発現していた。このうち1個は、SIX8と呼ばれる遺伝子であり、病原的な役割は報告されていない。もう一方の遺伝子FocnCong_v001894は、未報告の新規遺伝子であった。 興味深いことに、この2個の遺伝子はゲノム塩基配列上で隣接していた。SIX8およびFocnCong_v001894がエフェクター遺伝子であるか調査するために、小型染色体喪失株に、SIX8およびFocnCong_v001894の両方を含む遺伝子座、またはそのいずれかを導入した形質転換株を作出した。当該形質転換株によるシロイヌナズナへの接種試験を行った結果、SIX8またはFocnCong_v001894のいずれかを導入した形質転換株では、病原性が復帰しなかったが、SIX8とFocnCong_v001894の両方を含む遺伝子座を導入した株では病原性が復帰した。従って、SIX8およびFocnCong_v001894を含む遺伝子座がシロイヌナズナへの病原性に必要であることが示唆された。
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