2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21158
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
瀧澤 文雄 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60822913)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニジマス / 形質細胞 / B細胞 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
水産増養殖の現場では魚病対策としてワクチンの使用が進められている。水産用ワクチンは、高い防御効果を与えられていることから、獲得免疫が誘導されていることが考えられているが、抗体産生細胞である形質細胞の同定や誘導機構の解明が、より効果的なワクチンの開発につながる。 そこで本研究は、ニジマスの形質細胞を同定および分離を可能にし、その形質細胞の特性を解明するために、まずニジマスの形質細胞の同定に取り組んだ。その結果、腎臓細胞に対して抗ニジマスIgM抗体および抗ニジマスIgD抗体の二重染色を行い、IgMとIgDを両方発現している細胞(IgM+/IgD+ B細胞)とIgMのみを発現している細胞(IgM+/IgD- B細胞)の2種類の細胞を同定することに成功した。さらに、哺乳類の形質細胞は、抗体タンパク質を分泌するために多量の小胞体を含む大型の細胞でいることが知られているために、両細胞集団の細胞サイズ、小胞体および細胞内のIgMの発現を調べたところ、IgM+/IgD+ B細胞と比べて、IgM+/IgD- B細胞は、大型で細胞内の小胞体とIgMをより多く発現していることが明らかになった。また、これら2種類の細胞の遺伝子発現解析を行ったところ、IgM+/IgD- B細胞において形質細胞のマーカーであるBlimp1が高度に発現している一方で、ナイーブB細胞で発現するPAX5の発現量は弱かった。以上から、IgM+/IgD- B細胞は、形質細胞から構成されていることが強く示唆され、形質細胞の同定・分離が可能になった。今後、この情報を活かして、ワクチン投与後の形質細胞の割合や抗原特異的抗体の産生能などの評価が可能となり、より詳細な形質細胞の特性の解明につながるとともに、魚類特有の抗体であるIgTを産生する形質細胞の同定にも応用できることが期待される。
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Research Products
(16 results)