2019 Fiscal Year Annual Research Report
木材の化学処理と熱処理のツーステップ処理による寸法・物性安定化
Project/Area Number |
19K21160
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
関 雅子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (70630820)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 木材 / 化学処理 / 熱処理 / 寸法安定化 / 樹脂含浸 |
Outline of Annual Research Achievements |
木材の吸水・脱水による寸法変化を抑制するための手段として、化学処理と熱処理を組み合わせた「ツーステップ処理」(すなわち化学処理木材の熱処理)を適用し、その処理が寸法安定性に及ぼす効果と処理による微細構造変化を明らかにすることを目的に研究を進めた。 今年度は、化学処理として樹脂含浸処理に着目した。樹脂含浸処理は、細胞壁内の非晶高分子鎖間にかさ高い樹脂分子を導入し細胞壁を膨潤させた状態で寸法安定性が得られるとされる。本研究では、材色変化が小さく熱硬化性という観点から含浸樹脂としてメラミン樹脂を採用し、樹脂水溶液の固形分濃度を変化させて木材に含浸させた。含浸後に乾燥させた木材を用いて、180℃または200℃で熱処理を行うことで、ツーステップ処理木材を調整した。外部寸法変化と観察による評価から、樹脂含浸による細胞壁の膨潤が確認され、その後、樹脂含浸処理単独での吸湿性の低下および寸法安定性の向上を確認した。さらに、樹脂含浸処理後に軽度の熱処理を施すことで、樹脂含浸処理単独よりも吸湿性が低下し、寸法安定性が向上することがわかった。しかしながら、熱処理による重量減少率が約5%以上となる重度の熱処理においては、熱処理単独の木材(すなわち、樹脂未含浸木材の熱処理)と同程度の吸湿性と寸法安定性にとどまったことから、樹脂含浸による寸法安定化効果は熱処理の程度に依存することがわかった。 また、樹脂含浸処理による微細構造変化を把握するために、昨年度と同様にガス吸着法による空隙評価を行った。二酸化炭素吸着によりミクロ孔領域の細孔容積を評価した結果、樹脂含浸により木材中のミクロ孔領域の細孔容積が縮小することがわかった。ミクロ孔領域の細孔は細胞壁内の一時空隙に相当するとされていることから、樹脂分子の一時空隙への充填がミクロ孔領域の細孔容積の減少に寄与することが示唆された。
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Research Products
(3 results)