2019 Fiscal Year Annual Research Report
広範な基質認識を示すバイオマス糖化用アクセサリー酵素の作出
Project/Area Number |
19K21164
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大橋 博之 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (10826184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酵素機能改変 / 植物細胞壁 / 多糖分解酵素 / アラビノフラノシダーゼ / バイオマス分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
非可食バイオマスの効率的な分解には、バイオマス内部へセルラーゼを浸潤させ、セルロースへのアクセスを向上させることが重要である。そのため、化学的/物理的な処理や、補助酵素によるセルロース以外の多糖類(マトリックス多糖類)の分解が試みられている。補助酵素は通常特異性が高く、多種類の糖が複雑に結合している糖質の分解には多くの種類の補助酵素が必要となる。もし、多種類の糖を単一の酵素で分解することができれば、使用酵素の削減や糖化効率の向上が期待されるが、実施例は少ない。本研究では、ダイコン由来アラビノフラノシダーゼ(RsAraf1)をX線結晶構造未知な酵素のモデルとし、タンパク質データベースと分子モデリング技術を活用することで、多種類の糖が分解可能な熱安定性の高い酵素の取得を目指す。本研究により、バイオマス糖化酵素の高機能化に対する新規アプローチを開拓する。 H31年度には、RsAraf1の予測立体構造を構築し、変異導入部位の決定を行った。また、改変酵素を取得し、熱安定性が30%前後向上した改変RsAraf1を取得した。R1年度には、ジスルフィド結合を2部位に導入することで、45℃における熱安定性がさらに向上(>70%)した改変酵素を取得した。さらに、この酵素の酵素認識部位のアミノ酸を置換することで、キシロピラノースを切断する酵素を取得した。また、基質の認識に関わるアミノ酸の近傍にグリシンを挿入することで、アラビノフラノース、キシロピラノースをそれぞれ同程度切断する酵素を取得した。これは、酵素の基質認識の正確性が低下した(認識が甘くなった)ためだと考えられる。なお、基質認識部位を改変した酵素も、高い熱安定性(45℃で>65%)を有していた。作出した酵素のバイオマス分解活性についても調査したところ、これらの酵素は植物多糖類からアラビノース、キシロースを遊離することが分かった。
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