2018 Fiscal Year Annual Research Report
肉用鶏と採卵鶏の比較によるパネート細胞の機能解明と腸管幹細胞成長因子の同定
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18H06032
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 謙 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30818604)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | パネート細胞 / ニワトリ / 腸管上皮細胞 / Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでニワトリはパネート細胞を持たない動物として知られていたが、近年ニワトリでもパネート細胞の存在が確認された。パネート細胞はWnt3a等の成長因子を分泌し、腸管上皮細胞を構成する際に重要な役割を果たす。肉用鶏でもパネート細胞が存在し、Wnt3a分泌の可能性が示唆されている。しかし、これまでの申請者の研究から、採卵鶏の腸管ではWnt3aの発現が行われていないことが明らかとなり、肉用鶏と採卵鶏ではパネート細胞の機能や分泌される成長因子の種類が異なる可能性が示唆された。以上から①肉用鶏と採卵鶏におけるパネート細胞の機能性の比較、②採卵鶏のLgr5陽性幹細胞を活性化するWntまたは代替となる成長因子の同定、③成長因子を分泌する細胞の同定とLgr5陽性幹細胞への効果の以上3つを目的として研究を行うことを目的として研究を遂行した。 先ず、①の目的を達成するため、肉用鶏の腸管を採取し、Wnt3aをターゲットとしたPCRおよびIHCを行った。しかし、どの部位においてもWnt3aのmRNAの発現が確認されず、染色もされなかった。次に②の目的を達成するために、Wnt3aで無いLgr5陽性幹細胞を活性化するWntであるWnt2bのmRNA発現量が高いことが明らかとなり、Wnt2bがLgr5陽性幹細胞を活性化する代替の成長因子であることが示唆された。次の目的③を達成するためにWnt2bのタンパク質の合成を行うため、DNA合成を行なった。 今後はWnt2bを分泌する細胞の同定を行う。さらに、ニワトリのWnt2bが腸管におけるLgr5陽性幹細胞を活性化するか否か調査するため、合成したWnt2bのDNAからタンパク質を合成する予定である。合成に成功したタンパク質を精製後、腸管オルガノイド培養で培養したニワトリ腸管上皮細胞にWnt2bを添加し、Lgr5陽性幹細胞が活性化されるか否か調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鶏におけるパネート細胞探索またはそれに代替する機能の解明を行うために、①肉用鶏と採卵鶏におけるパネート細胞の機能性の比較、②採卵鶏のLgr5陽性幹細胞を活性化するWntまたは代替となる成長因子の同定、③成長因子を分泌する細胞の同定とLgr5陽性幹細胞への効果の以上3つを目的として研究を遂行した。 先ず、①の目的を達成するため、種卵から孵化させ2週齢まで飼養した肉用鶏から十二指腸、空腸、回腸および直腸を採取し、Wnt3aをターゲットとしたPCRおよびIHCを行った。先行研究の通りであれば、肉用鶏ではパネート細胞が存在するため、Wnt3aの発現が確認されるはずである。しかし、どの部位においてもWnt3aのmRNAの発現が確認されず、染色もされなかった。また、採卵鶏でも同様に確認するため、種卵から孵化させ2週齢まで飼養した採卵鶏から十二指腸、空腸、回腸および直腸を採取しPCR用、IHC用に腸管を凍結保存した。 次に②の目的を達成するために、Wnt3aで無いLgr5陽性幹細胞を活性化するWntであるWnt2bおよびWnt5aに着目しPCRを行った結果、すべての箇所でWnt2bとWnt5aのmRNAの発現が確認され、特にWnt2bのmRNA発現量が高いことが明らかとなり、Wnt2bがLgr5陽性幹細胞を活性化する代替の成長因子であることが示唆された。 そこで次の目的③を達成するためにWnt2bのタンパク質を合成し、腸管上皮細胞培養を試みた。先ず、Wnt2bのタンパク質の合成を行うため、DNA合成を行なった。現在はDNAをL-cellに遺伝子導入する前段階としてプライマーの設計を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに①肉用鶏と採卵鶏におけるパネート細胞の機能性の比較、②採卵鶏のLgr5陽性幹細胞を活性化するWntまたは代替となる成長因子の同定、③成長因子を分泌する細胞の同定とLgr5陽性幹細胞への効果の以上3つを目的として研究を遂行した。 上記の研究を遂行する際に、主に肉用鶏の腸管を用いて解析を行った。その結果、肉用鶏でも採卵鶏でも同様のメカニズムであることが予想された。今後は採卵鶏の腸管を用いて同様の結果が得られるか否か調査する。また、本年度の結果からWnt2bがニワトリ腸管におけるLgr5を活性化するWntであることが示唆された。Wnt2bはマウスの筋線維芽細胞などのniche細胞から分泌されることが明らかとなっている。そこで、ニワトリでも同様に筋線維芽細胞からWnt2bが分泌されているか否かIHCで確認を行う。さらに、ニワトリのWnt2bが腸管におけるLgr5陽性幹細胞を活性化するか否か調査するため、合成したWnt2bのDNAからタンパク質を合成する予定である。合成に成功したタンパク質を精製後、腸管オルガノイド培養で培養したニワトリ腸管上皮細胞にWnt2bを添加し、Lgr5陽性幹細胞が活性化されるか否か調査する。
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