2019 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性気管支炎においてM細胞が果たす役割の解明
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19K21170
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 有孝 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任助教 (60824456)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | M細胞 / 気管支 / 粘膜免疫 / アレルギー / 気道炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
気道アレルギー疾患は、生体にとって害の少ない抗原に暴露された気道粘膜が、過剰な免疫応答を起こすことによって引き起こされる。しかし、この様な異常免疫応答がどの様に引き起こされるのかは明らかではない。粘膜の上皮層に存在する特殊上皮M細胞は、外界(粘膜管腔)から抗原を取り込む機能を有しており、気道アレルギー疾患に対しても何らかの役割を担うことが予想された。 L P S投与により炎症が惹起された肺組織では、誘導性気管支関連リンパ組織(iBALT: inducible bronchus-associated lymphoid tissue)が細気管支に沿った粘膜に形成され、その上皮面にはM細胞が確認される。そこでiBALT形成にM細胞が関与するか明らかにするため、M細胞欠損マウスに対してLPSの経鼻投与を行い、iBALTの形成を確認した。肺を透明化し、ライトシート顕微鏡を用いてiBALTを確認したが、M細胞欠損マウスにおいてもiBALTの形成が認められた。つまり、M細胞による抗原取り込みは、iBALT形成に関与しないと推測された。 2018年度の研究より、M細胞欠損マウスにおいては、ダニ誘導性気管支喘息モデルの病態がやや悪化することが明らかとなった。そこで、実験条件の検討を行うと共にM細胞欠損マウスにおける免疫寛容の評価を行なった。過去の報告を参考に、卵白アルブミン(OVA)の経鼻免疫寛容について皮下での遅延型過敏(DTH: Delayed-type hypersensitivity)応答を基準に評価を行なった。しかし、野生型マウスとM細胞欠損マウスの間でDTH応答に有意な差は認められなかった。この結果は、経鼻免疫寛容にM細胞の有無は関与しないことを示唆している。一方、iBALTは正常な肺ではほとんど認められないため、iBLATのM細胞が経鼻免疫寛容に関与するかどうかは不明のままである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想と異なる結果が得られたため、実験条件の再検討を実施していた。また、2018年度の研究推進方策では、気道粘膜におけるバリア機能(タイトジャンクションなど)に対して免疫染色による解析を試みる予定であったが、安定的な評価基準の確立が困難であることがわかった。現在、バリア機能評価に対する安定的な評価法を検討中であり、計画からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
気道粘膜におけるバリア機能の安定的な評価法を確立するため、引き続き実験条件を検討する。また、iBALT誘導下における経鼻免疫寛容についても検討を行う。具体的には、LPSによるiBALT形成後に、OVAによって経鼻免疫寛容を誘導し、DTHによる寛容誘導の評価を行う。
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Causes of Carryover |
ヨーロッパでのCOVID-19感染拡大により、3月下旬に予定していたイギリス・フランスへの出張が2019年度内に実施できなかった。この出張は研究遂行上必要なため、2020年度に実施する計画である。
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[Journal Article] Osteoprotegerin-dependent M cell self-regulation balances gut infection and immunity.2020
Author(s)
Shunsuke Kimura, Yutaka Nakamura, Nobuhide Kobayashi, Katsuyuki Shiroguchi, Eiryo Kawakami, Mami Mutoh, Hiromi Takahashi-Iwanaga, Takahiro Yamada, Meri Hisamoto, Midori Nakamura, Nobuyuki Udagawa, Shintaro Sato, Tsuneyasu Kaisho, Toshihiko Iwanaga, Koji Hase
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Journal Title
Nat Commun.
Volume: 11
Pages: 1-16
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Osteoprotegerin-dependent M cell self-regulation balances the gut immunity and infection2019
Author(s)
Yutaka Nakamura, Shunsuke Kimura, Nobuhide Kobayashi, Katsuyuki Shiroguchi, Eiryo Kawakami, Mami Mutoh, Hiromi Takahashi-Iwanaga, Takahiro Yamada, Meri Hisamoto, Midori Nakamura, Nobuyuki Udagawa, Shintaro Sato, Tsuneyasu Kaisho, Toshihiko Iwanaga, Koji Hase
Organizer
17th International Congress of Immunology
Int'l Joint Research
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