2018 Fiscal Year Annual Research Report
Structural bases of transcriptional regulation by chromatin conformation
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18H06041
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野澤 佳世 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (10808554)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 転写 / クロマチン / RNAポリメラーゼII |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、Pol II CTDをMed上に固定するためにPol II CTD をMedサブユニットのC末端に直接融合させたコンストラクトを作成し、発現させることに成功した。先行研究の転写開始複合体の電子顕微鏡像を指標にPol IIのC末端と近接しているMedサブユニットを同定し、そのうちMed6全長、Med6ΔC、Med8全長に遺伝子全合成で作製したPol II CTDの遺伝子(YSPTSPSの8回リピート)をタンパク質のC末端領域に挿入した。この3つのフュージョンタンパク質遺伝子それぞれを、これまでに構築した16サブユニットのコア・メディエーター複合体の発現ベクターに導入し、大腸菌での大量発現を行った。発現条件の検討の結果、10 Lの培養液から2 mg程度の変異複合体タンパク質を精製することができた。また、クロマチン構造と転写開始機構の関係性を解析するために、ヌクレオソームの再構成技術を習得した。大腸菌で発現させた4種類のヒストンタンパク質を等モル比で混合し、ゲルろ過クロマトグラフィーで8量体複合体を単離したのち、ヌクレオソーム1個分に相当する145 bpのWidom601 DNA配列と複合体を形成させ、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製した。最終精製産物について、SDS PAGEとNative PAGEでクオリティーチェックを行った結果、DNA1分子に対して、H2A、H2B、H3、H4ヒストンタンパク質を2分子ずつ含むヌクレオソーム複合体であることが確認され、1 mgの再構成系から100 ugの高純度複合体を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MedをPol II CTDとの融合タンパク質として発現させるにあたって、融合させるサブユニットの種類やサブユニット上の配置の検討が必要だった。上述した3つのサブユニット以外にもMed11やMed31のC末端領域、Med17のN末端にPol II CTDを融合させた変異体も作成し、小スケールでのタンパク質の発現検討を行ったが、いずれも複合体の形成が妨げられ、変異体を精製することができなかった。また、精製することができた3つの変異体についても一様に可溶化効率が下がり、野生型タンパク質が12 mg/mL程度まで濃縮できるのに対して、変異体は4 mg/mL程度までしか濃縮することができなかったため、精製条件の再検討が必要だった。しかし、可溶化効率を除けばそれぞれの変異体の性質は良好であり、ゲルろ過クロマトグラフィーでも単分散のピークを示したため、本年度は予定通り構造解析に向けて結晶化を行うことができると考えられる。また、ヌクレオソームの再構成系を通じて、ヒストンH2A、H2B、H3、H4を不溶性画分からリフォールディング処理する技術やpGEM-Tベクターに導入したWidom601配列DNAを大腸菌の大量培養によって増幅させる技術を習得した。これまでに行われたMedのタンパク質のインタラクトーム解析からも、Medと各種コアヒストンやヒストンシャペロン、クロマチンリモデリング因子の相互作用が明らかになっているため、ヌクレオソームを構成する個別のコンポーネントについてもMedとの相互作用解析が進めて行けると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、コア・メディエーター-Pol II CTD融合変異体について、結晶化スクリーングと条件の最適化を経て、大型放射光施設で構造解析データの収集を試みる予定である。これまでに野生型コア・メディエーターについては、結晶化条件とその構造を得ているため、変異体の回折データを収集できれば既知のモデルを用いた分子置換法によって、構造決定が可能であると考えられる。また、クロマチン構造と転写開始機構の関係性を解析するために、ヌクレオソームについてはPol II結合の足場となるDNAリンカー付加させたものも調製法を確立する予定である。また、転写実験に用いるPol IIについては、出芽酵母の系を立ち上げて調製したいと考えている。出芽酵母から内因性Pol IIを精製する手法については、高エネルギー加速器研究機構の安達成彦博士との共同研究にて進めて行く予定である。
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Research Products
(2 results)