2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural bases of transcriptional regulation by chromatin conformation
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19K21175
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野澤 佳世 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (10808554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 転写 / クロマチン / RNAポリメラーゼII |
Outline of Annual Research Achievements |
メディエーター(Med)はRNAポリメラーゼ IIのC末端領域(Pol II CTD)を介してプロモーターに結合し、そのCTDをTFIIHキナーゼに提示することで、転写の開始を誘起する。最終年度ではコア・メディエーター(cMed)とPol IIの相互作用領域を可視化するために、分裂酵母由来cMedにCTDとGSTを融合させたタンパク質の構造機能解析を行った。cMed-CTD-GSTについて、リン酸化型(Med非結合型)・非リン酸化型(Med結合型)試料を調整し、X線小角散乱解析を行った結果、CTDにリン酸化を受けた複合体は理論値に近い値を示すのに対し、非リン酸化状態の複合体は、大きな慣性半径を持つことが示された。本実験を通じて、CTDのリン酸化によるPol II制御を試験管内で再現することができたため、今後はこの構造を詳細に解析したいと考えている。また、出芽酵母からの内因性Pol IIの精製系と、昆虫細胞でのTFIIHキナーゼの発現系を樹立したため、大腸菌からリコンビナントに精製した出芽酵母由来cMedがPol IIのリン酸化を促進できるかどうかを評価した。Pol II CTDのリン酸化をSer5抗体で検出したところ、cMedを構成するHeadやMiddleモジュール単独ではリン酸化を促進しないのに対して、cMedはCTDのリン酸化を10倍も上昇させることが明らかになった。この結果はcMedがTFIIHキナーゼのリン酸化を促進できる機能最小単位であることを示すと同時に、リコンビナントに発現させたcMedでも転写開始を誘起できることを示している。最終年度では、この成果を生物物理学会やアジア結晶学会で報告した。今後はクロマチン構造と転写の関係性を解析するために、ヌクレオソームをテンプレートとしてPol IIの転写実験も行っていきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)