2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21181
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
向井 崇人 立教大学, 理学部, 助教 (40612114)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 合成生物学 / アプタマー / tRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
立体構造タグを用いたtRNA分子群の操作法を開発した。まず、tRNA骨格として2,3種類のallo-tRNA変異体が有用であることを見出した。allo-tRNAは自然界から近年見つかった新規構造のtRNAである。初年度と最終年度に合計して200種類弱のallo-tRNA変異体を作製し、最終年度に大腸菌の実験系を用いて各変異体を評価した。allo-tRNAは大腸菌のSeryl-tRNA合成酵素(SerRS)に強く認識されてしまうが、3種類のallo-tRNAのVアーム根本ステム部分にフリップアウトしたウラシルやアデニンを挿入することにより、SerRSとの結合を阻害できた。それにより、allo-tRNA骨格にTyrosyl-tRNA合成酵素(TyrRS)の認識部位を導入し、チロシンtRNAへと変換することができた。 次に、得られたallo-tRNA骨格のVアームの先端に、様々な小型ヘアピンRNAアプタマーを移植し、allo-tRNAとRNAアプタマーの融合RNAを作製した。融合RNAは高活性tRNAとして大腸菌内で機能し、更にRNAアプタマー部分に特定の結合タンパク質を結合させると、おそらく立体障碍により融合RNAが大腸菌のタンパク質翻訳系から隔離された。従って、立体構造タグを用いたtRNA分子操作法の開発に成功した。 最後に、Histidyl-tRNA合成酵素(HisRS)に対するRNAアプタマーとして機能するtRNAHisアンチコドンループをallo-tRNA骨格のVアーム先端に移植した。融合RNAは通常のアンチコドンアームに加え、偽物のアンチコドンアームをVアームとして持つ、四つ葉のクローバー型2次構造をとると考えられる。驚くべきことに、この融合RNAはヒスチジンtRNAとして大腸菌内で機能した。つまり、立体構造タグはアミノアシルtRNA合成酵素の新規認識部位になりうる。
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