2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H06056
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
三好 啓太 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (20423395)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | RNAサイレンシング / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAサイレンシングとは、小分子RNAによって誘導される塩基配列特異的な遺伝子発現抑制機構の総称であり、生物種間で高度に保存され、細胞内プロセスにおいて非常に重要な役割を担っている。ショウジョウバエにおいては、RNAサイレンシング機構の基本経路は明らかにされている。これまでに、研究代表者はショウジョウバエRNAサイレンシング活性中心体RISCに相互作用する新規因子群を多数同定した。その中の一つとして、miRNAによる遺伝子発現抑制機構の活性中心因子Ago1およびGW182の相互作用タンパク質として、Tdrd3を同定した。 Tdrd3の分子機能理解のため、抗Tdrd3マウスモノクローナル抗体の作製を進めている。これまでに、ショウジョウバエS2培養細胞のcDNAを用いて、Tdrd3 cDNAのクローニングに成功した。また、大腸菌を用いてTdrd3のN末端200アミノ酸とGSTの融合タンパク質を精製したのち、マウスに免疫を行なった。これまでに、免疫したマウスから得た血清は、ショウジョウバエS2培養細胞抽出液を用いたウエスタンブロッティングにて内在性Trdr3に特異的に反応した。本抗体の取得により、Tdrd3複合体の精製、既知の因子と相互作用、細胞内局在性などの解析を進めることができる。一方で、CRISPR/Cas9システムを用いて、Trdr3ノックアウト(Tdrd3 KO)ショウジョウバエの作製を進めている。これにより、Tdrd3 KOショウジョウバエの表現型の解析やmiRNA標的レポーター遺伝子をもつハエと掛け合わせることによるTdrd3の機能を解析が可能になる。 Tdrd3は、miRNAを介したRNAサイレンシング制御因子と期待される。そこで、本研究では、これらTdrd3の詳細な分子機能解析を行い、その制御機構の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tdrd3の分子機能解析のため、抗Tdrd3モノクローナル抗体の作製を進めている。これまでに免疫したマウスの血清が内在性Tdrd3に反応していることから、本マウスを用いてモノクローナル抗体の取得可能であると考えられる。今後の研究が大幅に進展すると期待される。一方で、CRISPR/Cas9システムを用いて、Trdr3ノックアウトショウジョウバエの作製を進めており、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
抗Tdrd3抗体を用い、免疫沈降法によるTdrd3を含むRISCの構成因子(タンパク質およびmiRNA)の同定、CLIP法を用いた標的mRNAの同定を行う。これら解析により、Tdrd3が普遍的なmiRISC制御因子であるか、もしくは特異的なmiRISC 制御因子であるかを明確にする。一方でTdrd3 KOショウジョウバエの作製を進め、このショウジョウバエを用いて、miRNA標的レポーター遺伝子発現を指標としたTdrd3の機能解析を進める。これらの発現に影響があった場合、その原因が、miRNAのRISCへの取り込みの欠損か、標的RNAの認識・結合の欠損か、発現抑制能の欠損か明らかにする。また、レスキュー解析などを行い、機能ドメインやRISCとの結合ドメインの同定、タンパク修飾の関与の解析を進める。
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