2019 Fiscal Year Annual Research Report
生体内に存在する多能性幹細胞(Muse細胞)の分化メカニズムの経時的解析
Project/Area Number |
19K21187
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 康勝 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00614504)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Muse細胞 / 多能性幹細胞 / 再生医療 / 分化 / 多光子励起顕微鏡 / in vivo imaging / Live imaging |
Outline of Annual Research Achievements |
Muse 細胞は多能性幹細胞マーカーSSEA-3 を指標に生体より直接単離することが可能であり、損傷モデル動物へ点滴投与するとその損傷部位へと優先的に遊走し、さらにその部位に応じた機能的な細胞へと分化する。しかしながら移植後の自発的な分化メカニズムなどの生体内での詳細な挙動は未だ不明なままである。 そこで本研究では、生体損傷時におけるMuse 細胞の分化メカニズムを生体イメージングにより解明することを目的とした。 本研究で使用する多光子励起顕微鏡は、高解像度を保ったまま、より深くにある組織を観察できる非常に優れた顕微鏡ではあるものの、それでもなお、その最大到達深度は組織表面から1 mm 程度であり、生体のすべてを無制限に観察できるわけではない。そのため損傷モデルの選定がこの研究の重要な点となる。 本年度は、前年度までに構築した、脳梗塞モデルマウスを生かして脳の状態を保ったまま多光子顕微鏡を用いて長時間観察し続けることが可能な系を用いて、移植後のMuse細胞が分化する様子の詳細な観察を試みた。 移植細胞の追跡・および分化した際に確認できるように、それぞれ常時発現プロモーター下流にmCherry、および神経系特異的発現遺伝子であるNeuroD1のプロモーター下流にCFPを導入した細胞を導入したMuse細胞は、移植してから1-2日と早い段階で分化することが明らかとなった。 本研究の結果は今後Muse細胞を用いた研究を行う際の時間的計画を立てる際の足掛かりとなるだけではなく、誘導をかけているわけでもないMuse細胞が、どのようにして周囲の環境を読み取り、迅速に分化するのか、その詳細なメカニズムを解明する大きな一助となるものと考えられる。
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