2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H06066
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 尚宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (80822931)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 温度補償性 / 概日リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究にて見出した新規温度シグナリングの阻害剤 Temperature compound (TC)-1 およびTC-2の標的は、哺乳類では7つの遺伝子にコードされている。このうち、5つの遺伝子のノックアウトマウスを入手し、行動リズムの解析を進めている。現在、2系統のマウスのリズム解析が完了している状況だが、両系統にて輪回し活動リズムが長周期化するという表現型を確認できている。そのうち1系統においてはリズム消失を示す個体も出現していることから、TCシグナリングは概日リズム制御において極めて重要であると考えている。 また、細胞時計の温度補償メカニズムを理解するため、細胞内のTCシグナルのイメージング系を構築した。ケミカルプローブを用いた蛍光顕微鏡によるアッセイ系から、TCシグナルの温度応答を解析した。その結果、温度低下に伴ってTCシグナル強度が増加することが分かった。さらに、共同研究によってタンパク質プローブによるイメージング系を構築し、同様の結論を確認することができた。そこで次に、TCシグナルが細胞時計に及ぼす影響を解析したところ、TCシグナルを活性化させると細胞時計の周期が短周期化することが分かった。すなわち細胞時計の周期は、低温で活性化するTCシグナルによって補償されるモデルが考えられた。このモデルを確認するため、振動理論の研究者と共同研究を進め、数理シュミレーションによってTCシグナル活性化が及ぼすリズム周期への影響を解析したところ、実験結果と一致する形で、TCシグナル活性化がリズムを短周期化することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウス系統の入手は順調に進んでおり、解析も滞りなく進んでいる。入手した5系統のうち、2系統で共通した表現型が観察されており、申請書で記載した計画を基本方針として進めることで問題なさそうである。また、TCシグナルのイメージング系も構築完了し、温度変化に対するTCシグナル強度の変化を検出することができた。また、TCシグナルが細胞時計の周期に与える影響を見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の計画段階の仮説をサポートする形で、ノックアウトマウスの表現型や細胞内シグナリングのデータが続々と出てきている状況である。引き続き、計画に従って着実なデータを創出するとともに、さらなる発見を目指して解析対象の拡大を模索する。
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Research Products
(5 results)