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2018 Fiscal Year Annual Research Report

細胞膜結合分子PCaPを介した細胞内情報の新しい変換機構の解明

Research Project

Project/Area Number 18H06067
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

高田 奈月 (田中奈月)  名古屋大学, 高等研究院(農), 特任助教 (00824070)

Project Period (FY) 2018-08-24 – 2020-03-31
Keywordsシグナル変換 / ホスファチジルイノシトールリン酸 / カルシウム / 細胞膜
Outline of Annual Research Achievements

カルシウム(Ca2+)による情報伝達は生物に普遍的なシステムである。しかし、Ca2+濃度上昇を多様な細胞機能の正確な調節に結びつける機構の全貌は解明途上である。本研究ではCa2+濃度の上昇をホスファチジルイノシトールリン酸(PIP)シグナルに変換する機能をもつ植物の新規情報変換分子PCaP1(Plasma membrane-associated Ca2+-binding Protein-1)に焦点を当てている。対象植物はシロイヌナズナと、陸上植物の進化の基部に位置するゼニゴケの2つを用いている。
1年目である本年度は、シロイヌナズナにおいて、部位特異的プロモータでの相補実験から、PCaP1分子が根の内皮細胞に存在することが、根が水分の多い方向へと曲がる応答(水分屈性)に重要な機能を果たしていることを証明した。さらに、PCaP1-GFPの局在観察から、根に均一な浸透圧ストレスを与えると根の全ての細胞でPCaP1が細胞膜局在で無くなるのに対し、水分屈性を引き起こす水分勾配培地に置いた場合には根の内皮細胞でのみ細胞膜局在で無くなり、細胞内に移動している様子が観察された。これらの業績を投稿論文として発表した。
ゼニゴケでの実験においては、PCaP1をCRISPR/Cas9で欠損させると、キメラの株しか取得できず、ゼニゴケにおいてはPCaP1の欠損が致死である可能性が見えてきた。また、ゼニゴケでのN末端部分の過剰発現株(ドミナントネガティブ)も作出し、N末端過剰発現株では、細胞分裂や組織の分化に著しい影響が見られることが分かってきた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

PCaP1がシロイヌナズナにおいて、根の水分屈性に不可欠な機能を果たしていることを証明し、さらにその機能はPCaP1が根の内皮細胞に存在することが重要であることを組織特異的プロモータでの相補実験、PCaP1-GFPの局在観察から明らかにし、その成果を論文としてまとめることができた。
また、ゼニゴケにおけるPCaP1機能解析も進み、順調に成果が見え始めているため、最終年度2年目にさらに掘り下げて解析を進めることにより、ゼニゴケとシロイヌナズナのPCaP1タンパク質の作用機構や生理的役割における共通点、進化的変化について明らかになってくると推測する。

Strategy for Future Research Activity

① ゼニゴケにおいて、 PCaP1のConditional KO株を作出し、PCaP1が致死遺伝子であるのか否かを確認する。またPCaP1過剰発現株についても作出し、PCaP1が過剰になることでの影響についても観察する。
② シロイヌナズナでのPCaP1遺伝子欠損株の成長発達過程を通して表現型を詳細に観察する。通常条件下のみでなく、水、光、栄養、温度、病原菌などのストレスに対する変化を解析する。欠失株にPCaP1を戻し表現型の解消を確認し、PCaP1を原因遺伝子とする表現型として確定する。
③ PCaP1の相互作用分子であるPIP (PIP reporter発現株)、細胞骨格(微小管、アクチン)を可視化したPCaP1遺伝子欠損株やPCaP1過剰発現株を交配等により調製し、PCaP1の存否が相互作用分子にどのような影響を与えるかを解析し、植物組織におけるPCaP1機能を分子レベルで確定する。
④ PCaP1のN端25残基領域(ミリストイル化、PIPとCa/CaMとの相互作用をする領域)を自己プロモータおよび過剰発現プロモータ(EF1αや35Sプロモータ)で発現させたゼニゴケとシロイヌナズナ株を作製し、成長と形態に与える影響を解析する。N端過剰発現株等におけるCa2+、PIP、細胞骨格の局在も野生株と比較する。とくにPCaP1とCa2+、PIP、細胞骨格との共局在性について、集中と分散の変化にも注目し検討する。これにより、N端領域の機能を明確化する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] オックスフォード大学(英国)

    • Country Name
      UNITED KINGDOM
    • Counterpart Institution
      オックスフォード大学
  • [Journal Article] Plasma membrane-associated Ca2+-binding protein PCaP1 is involved in root hydrotropism of Arabidopsis thaliana.2019

    • Author(s)
      N. Tanaka-Takada, A. Kobayashi, H. Takahashi, T. Kamiya, and M. Maeshima
    • Journal Title

      Plant and Cell Physiology

      Volume: 60 Pages: 1331-1341

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/pcp/pcz042

  • [Journal Article] A cell-wall protein SRPP provides physiological integrity to the Arabidopsis seed2019

    • Author(s)
      Uno Hiroshi、Tanaka-Takada Natsuki、Hattori Momoko、Fukuda Mayu、Maeshima Masayoshi
    • Journal Title

      Journal of Plant Research

      Volume: 132 Pages: 145~154

    • DOI

      10.1007/s10265-018-01083-6

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2019-12-27  

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