2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜結合分子PCaPを介した細胞内情報の新しい変換機構の解明
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19K21191
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高田 奈月 (田中奈月) 名古屋大学, 高等研究院(農), 特任助教 (00824070)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カルシウム結合タンパク質 / ホスファチジルイノシトールリン酸 / カルシウムシグナル / 脂質シグナル / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規タンパク質PCaP1の生理機能および情報変換機構の解明:細胞膜結合性タンパク質PCaPは、Caシグナルを脂質シグナルに変換する唯一の分子であり、所属研究室で見出され申請者が解析を進めてきた。細胞内情報伝達の重要なハブ分子であるPCaPの生化学的作動機構と生理的役割を明らかにすることで、Caシグナルの巾の広さと特異性を支える新たな仕組を解明することを目的としている。方法として、シロイヌナズナとゼニゴケを用いたPCaP欠損株と過剰発現株の解析、大腸菌で合成したゼニゴケPCaPタンパク質の精製と生化学的特性の解析を行なった。シロイヌナズナの欠損株の解析では、PCaPが根の水分屈性に関与していることを解明した。 PCaP1は根の水分屈性に関与:根の水分屈性は植物成長に不可欠な特性である。水分屈性にはMIZU1タンパク質と植物ホルモンABAの関与が報告されているが、詳細な機構は解明の途上である。本研究により、シロイヌナズナPCaP1欠失株では重力屈性には異常がないが水分屈性が不完全となり、屈曲部位の内皮細胞では細胞膜結合性のPCaP1が細胞質に遊離し、屈性に内皮のPCaP1が不可欠であり、根の水分屈性に関わる新たな因子として論文発表した。根の水分屈性の機構解明を前進させた。 ゼニゴケPCaP1は形態形成に不可欠:植物の原始型で遺伝子数の少ないゼニゴケの利点を生かした研究を開始した。ゼニゴケPCaP全長の過剰発現株およびPCaPのN末端領域(情報伝達分子との結合に関与)の過剰発現株を作製し表現型を解析し、形態と生育の顕著な異常を発見した。生化学的研究も進めるため、大腸菌にてPCaP1を大量合成し精製した試料をもとに特異性の高い抗体を得た。抗体を用いて、膜との結合の特性、ホスファチジルイノシトールリン酸との特異的な結合、PCaP1と相互作用するタンパク質候補など、新たな情報を得た。
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Research Products
(6 results)