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2018 Fiscal Year Annual Research Report

リン酸化を介したミトコンドリア品質管理の調節機構

Research Project

Project/Area Number 18H06072
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

川波 しおり (赤羽しおり)  立教大学, 理学部, 助教 (70793355)

Project Period (FY) 2018-08-24 – 2020-03-31
Keywordsミトコンドリア / リン酸化 / ミトコンドリア品質管理
Outline of Annual Research Achievements

ミトコンドリアは生命活動のためのエネルギーを産生するが、同時に活性酸素種を発生する。このため、常に自身が酸化ストレスにさらされ障害が蓄積する。このような障害が蓄積したミトコンドリアは、積極的に細胞から排除されることで、ミトコンドリア全体の品質が保たれている。障害を受けたミトコンドリアにおいてPINK1とParkinが協同的に働くことで、ミトコンドリアのオートファジーによる分解が引き起こされる。ミトコンドリア品質管理は生理的条件に応じて細胞側からも様々な調節を受けていると考えられるが、その調節機構についてはこれまで明らかではなかった。近年研究代表者は、ミトコンドリア品質管理が、cAMP/PKAシグナル伝達経路を介してMIC60とMIC19のリン酸化修飾により調節されていることを明らかにした。本研究では、リン酸化を介したミトコンドリア品質管理の調節機構の解明を行い、ミトコンドリア品質管理が細胞環境に応じて分子レベルでどのように調節されているのかを総合的に明らかにすることを目指している。
本年度実施した研究内容と成果は以下のとおりである。
1. 細胞内局在の異なるMIC60変異体を用いてリン酸化MIC60の細胞内局在を解析したところ、細胞質に局在するMIC60ではリン酸化が促進することがわかった。今後は、リン酸化MIC60のミトコンドリアへの輸送能を解析する。
2. MIC60のリン酸化部位に特異的な抗体を作成した。蛍光抗体法によりリン酸化MIC60の細胞内局在を解析したところ、リン酸化が促進されるMIC60変異体ではリン酸化が検出された。今後は、内在性MIC60のリン酸化の検出を試みる。
3. PINK1の安定化に関与するMIC60の相互作用因子の探索のために、MIC60の相互作用因子について発現抑制によりParkinの局在への関与を調べたが、優位な関与は見られなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1.MIC60のシグナル配列や膜貫通領域を欠失した変異体を作成した。これらの変異体の細胞内局在とリン酸化への影響を調べたところ、シグナル配列を欠失した変異体では細胞質における局在が見られ、さらに野生型MIC60より著しくリン酸化が促進していることがわかった。
2. MIC60のリン酸化部位に特異的なモノクローナル抗体を作成した。蛍光抗体法によりリン酸化MIC60の細胞内局在を解析した。細胞質に局在するMIC60変異体を過剰発現した場合には、リン酸化が促進されることで、MIC60変異体のリン酸化が検出された。神経細胞を含む様々な細胞を用いて、内在性MIC60のリン酸化の検出を試みたが、リン酸化は検出できなかった。今後は、Duolink PLA法等を含む様々な蛍光抗体法を行い、内在性MIC60のリン酸化の細胞内局在が検出できる条件を探索する。また、MIC60のリン酸化に関与すると推測される因子の発現抑制や過剰発現をした細胞において蛍光抗体を行うことで、内在性MIC60のリン酸化の検出を試みる。
3. MIC60は、PINK1のミトコンドリア外膜上における安定化を促進するが、内膜タンパク質のMIC60がPINK1の機能にどのように影響を及ぼすのかは明らかではない。MIC60と相互作用することが報告されているミトコンドリア外膜タンパク質のSLC25A46について、PINK1の活性化やParkinの局在への関与を調べたところ、発現抑制によるPINK1やParkinの活性への優位な関与は見られなかった。またMIC60と相互作用することが知られている他の様々な因子についても、Parkinの局在への関与は見られなかった。
以上のことから予定通り研究が進んでおり、順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

1. In vitro翻訳系を用いてリン酸化MIC60を合成する。この際、コントロールとしてMIC60非リン酸化変異体も作成する。これらのタンパク質を用いて単離したミトコンドリアへのin vitro輸送反応を行い、リン酸化修飾によるミトコンドリア膜透過への影響を調べる。MIC60はin vitro輸送系での輸送効率が悪いため、MIC60のシグナル配列に変異を入れて輸送効率を上げたMIC60シグナル配列変異体を作成し、この変異体についてもリン酸化によるミトコンドリアへの輸送能を解析する。またMIC60と同様に、リン酸化MIC19についてもin vitro輸送反応を行い、ミトコンドリア膜透過におけるMIC19のリン酸化の影響を調べる。
2. Duolink PLA法やTCA固定法等の様々な蛍光抗体法を行うことで、内在性MIC60のリン酸化の細胞内局在が検出できる条件を探索する。また、MIC60のリン酸化に関与することがわかっている脱リン酸化酵素PGAM5の発現抑制を行い、この細胞においてMIC60のリン酸化が検出できるか調べる。MIC60と複合体を形成するMIC19について過剰発現や発現抑制をした細胞を用い、蛍光抗体法におけるリン酸化MIC60の検出感度が上がるかどうか検証する。
3. MIC60のリン酸化はParkinのミトコンドリア局在を阻害するが、ミトコンドリア膜形態には影響を及ぼさない。このため、ミトコンドリア品質管理においては、内膜のMIC60とは別に、MIC60はミトコンドリア外膜上で機能する可能性が考えられる。MIC60の発現抑制はParkinのミトコンドリア局在を阻害するが、これに対してMIC60の細胞質に局在する変異体の発現により、Parkinのミトコンドリア局在が回復するかどうか検証する。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Remarks (1 results)

  • [Remarks] 立教大学 理学部生命理学科 岡研究室

    • URL

      https://www2.rikkyo.ac.jp/web/oka_lab/index.html

URL: 

Published: 2019-12-27  

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